NHKテキスト<br> NHK 100分 de 名著 ブラム・ストーカー『ドラキュラ』2025年10月

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NHKテキスト
NHK 100分 de 名著 ブラム・ストーカー『ドラキュラ』2025年10月

  • ISBN:9784142231805

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内容説明

そういえば、あの本のこと、なんにも知らずに生きてきた。

一度は読みたいと思いながらも手に取らなかったり、途中で挫折してしまったりした古今東西の「名著」を25分間×4回=100分で読み解きます。各界の第一線で活躍する講師がわかりやすく解説。年譜や図版、脚注なども掲載し、奥深くて深遠な「名著の世界」をひもときます。

■ご注意ください■
※NHKテキスト電子版では権利処理の都合上、一部コンテンツやコーナーを掲載していない場合があります。ご了承ください。

■「吸血鬼もの」の原点として世界中で知られる怪奇小説『ドラキュラ』は、19世紀末の人々が直面していた社会問題や文化現象を、ブラム・ストーカーが批評的に見つめることで創り上げた作品だった。スリル満点のエンタメ作品に込められた作者の意図を、「ケア」の視点を通して丁寧にほどく。

■講師:小川公代

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

luadagua

15
小説「ドラキュラ」を読む前にガイドとして読んだ。原作は初読みとなるので、ほぼネタバレになってしまうのだけど、かなり興味深かったのでまあいいか。出自も性的にもマイノリティーであった作者が伝えたかったこと。イギリスとアイルランド、怪物と人間、伝統的女性と新しい女性、科学と伝承、男らしさと女らしさ、近代と前近代といった二項対立の境界をドラキュラは超えてくる。今の不寛容な世の中で自由を見出したければ「ネガティブ・ケイパビリティ」は鍵となるのかもしれない。原作を読むのが楽しみだ。2025/11/03

GELC

14
ドラキュラというキャラクターはホラー役の定番であるが、原点である本書が、小説として超一級であることが分かった。文章だけでここまで恐怖感を植え付けてくる作者の手腕が素晴らしい。また、単なる悪役を倒すストーリーに見せかけて、多重的な読み方ができる品でもある。解説者のあわい、マイノリティー、女性解放などの近年注目される概念で読み解く姿勢は、少し寄せすぎな感じも正直ある。しかし、そのような読み方も許容できる、奥深さを備えている。2025/10/09

Michio Arai

5
ゴシック小説というジャンルらしい。18世紀の女性観というジェンダー視点、それにイングランドに抑圧されるアイルランドという国情など小説の登場人物やその出身国・地域にも意味を持って語られているとか。 単純に恐怖小説として読むのも良いが、「新しい女」「都市と辺境部」など当時の市民革命後の時代背景や、「ケア」の視点を念頭に深読みするとさらに興味深く読めるというのは、この解説がないとそこまで深く読めないと思った。 2025/10/16

きあ

4
ブラム・ストーカーの事を詳しく知れたし、ドラキュラの物語もちゃんとは読んだことがなかったので、この解説?を元に読んでみるのも面白いかもしれない。2025/11/09

mawaji

4
男女、善悪のような二項対立を乗り越えてゴシックホラーの「ドラキュラ」を今どのように読み解くのかをケアの観点から指南する本書、新しい気づきがいっぱいで興味深く読みました。その時代の弱者が描かれるゴシック小説はDEIを批判するトランプ大統領のやり口が見え隠れしたりして、自国ファーストと称して他者を排除するxenophobiaの思想など、今の時代との親和性を強く感じました。やはり優れた物語は時代を超えて普遍性があるのですね。寄ってたかって盛り上がって杭打ちするpenetrationの暗喩、フムフムといった感じ。2025/10/09

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