内容説明
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「近世仏教堕落論」は超え難い大きな壁であったが、近年の新しい研究によりそれは乗り越えられつつある。
近世国家の幕開けとなったキリシタンとの邂逅、そして仏教との交渉、研究が進む寺檀制度の新たな姿、民衆の中に根付いた勧進の宗教者などの多様なアプローチ。
「近世こそが仏教が民衆化した時代である」。近世における民衆仏教信仰、寺院の生き生きとした仏教世界を探る。
【目次】
第1章 キリシタンと仏教
第2章 近世国家と仏教
第3章 仏教と江戸の諸思想
第4章 教学の進展と仏教改革運動
第5章 幕府寺社奉行と勧進の宗教者―山伏・虚無僧・陰陽師
第6章 「葬式仏教」の形成
特論Ⅰ 仏像を通して見る古代日本の仏教
特論Ⅱ 仏教建築の変遷
【執筆者】
編集協力・松尾剛次、佐藤弘夫、林 淳、大久保良峻
黒住 真、曽根原 理、前田 勉、西村 玲、林 淳、岩田重則、長岡龍作、藤井恵介、大桑 斉、水上文義、中野三敏、渡辺麻里子、松下みどり、真鍋俊照、辻 惟雄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
maqiso
6
戦国時代のキリスト教は宗論を通して理論的に布教されたが、追放令以降は信心・殉教の書も広まった。近世になると仏教教団は体制や寺の序列を整備し宗派ごとに檀林を作った。因果応報論によって現状肯定を行う面もありつつ、国学からの批判に応えて僧伽での平等を主張することもあった。中世末期から家族単位で農業を行う小農が増えると、それに支えられて多くの寺院ができ、寺請制度を可能にした。宗門人別改や寺檀制度によって寺院が庶民への権力を持ったことで、仏教が葬送儀礼に浸透し、葬式仏教と呼ばれるまでになった。2023/03/09
きさらぎ
5
中世~江戸時代までの仏教についての論考集。私は「仏教と江戸の諸思想」の儒仏論争について知りたかったので読んでみた。前田氏は儒仏論争を三期に分け、羅山・惺窩師弟や闇斎ら江戸儒学の草創期を担った儒者達による仏教の反人倫性・儒学的な理気論に基づく因果応報論批判を、第二期では神儒仏の教義の確立期に於ける懐徳堂や富永仲基などの批判を、第三期として平田篤胤や後期水戸学を取り上げて論じており、興味深くはあったのだが、前田氏がどちらかというと儒学・神道に造詣の深い論者なので、仏教側の視点がやや物足りなかった気がする。2019/02/25
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