内容説明
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仏教を成立、発展させた基盤はインド亜大陸にある。古来より多種多様の民族が移動し、ヒンドゥー文化を形成しながら、そこから生まれてきた仏教。
古代の歴史と社会、宗教の起源、儀礼と文化などの諸相に着眼しながら、仏教が世界史上に出現した背景を考察する。
【目次】
第1章 ヒンドゥー世界の仏教
第2章 古代の歴史と社会
第3章 宗教の起源と展開
第4章 儀礼と文化の変遷
第5章 文学と宗教
第6章 イスラームとの共存/特論 ネパールの宗教と社会
【執筆者】
奈良康明、古井龍介、片岡 啓、永ノ尾信悟、水野善文、保坂俊司、石井 溥、田中雅一、藤井正人、後藤敏文、矢野道雄、高橋孝信
感想・レビュー
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HANA
60
題名に「仏教出現の背景」とあるように、仏教の教学自体には触れられておらず、仏陀在世当時の当時の社会情勢からその後の流れについてまとめられている。アーリア人の侵入からヴェーダの出現、六派哲学からイスラームまでどこを読んでも基本的な事はしっかりと押さえられている上、新しい知見、イスラームとインドの共存等も得られて非常に読み応えがある。個人的には文化の変遷と文学が興味深かったかな。特にジャータカの変遷等。全編インドの宗教や哲学の流れを追って思想史ともいえる著書。インドの文化に興味がある人は必読の一冊だと思う。2023/03/08
in medio tutissimus ibis.
2
仏教を生み出した宗教と政治経済その他を含むヒンドゥー世界を古代から中世、少し現代まで、歴史と社会、宗教、儀礼と文化、文芸の諸観点から概説する。あとインドにおけるイスラム教、ネパールにおける伝統宗教も(他に入れる所がなかったのかな)。今はヒンドゥー教の主流派だというヴィシュヌ派、シヴァ派も、伝統的ヴェーダの宗教からすればヴェーダ以上の権威(一切知者)を認めるという点で異端であり、そこには人間の認識能力の位置づけと言う哲学的問題があったというのは驚き。祭式主義が内面化して知識重視になったのち主知主義になった。2019/05/19