内容説明
祖母の神社に寄せられる、水にまつわる相談事の解決を手伝いながら、大学院生として民俗学の研究をしているひろ。ある日、偶然持ち帰った一幅の掛け軸を広げると、そこには美しい藤の花と、燃えるような赤い毛並みを持つ山犬の絵が描かれていた。それを目にした白蛇の化身シロは、遠い昔の美しくも切ない記憶を思い出し、ひろに語り始める。平安時代、江戸時代中期、幕末、現代と時をこえて、水神シロがどのように生き、どのように彼らの「心」を愛していたか。その秘密が明かされる、人気シリーズ番外編!
目次
序章
一 夕暮れに藤の雨
閑話 一
二 孤独の絵師と鵺退治
閑話 二
三 緋色の京
終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
41
ひろ達は相変わらずどうすればよいのかわからないようなおくてのカップル。今回は番外編。老いた陰陽師(道長時代の安倍晴明ですか)も登場する平安時代の物語。江戸時代の絵師の苦悩の物語。幕末の池田屋事件(でしょうか)を含む長州藩士の懊悩の物語、の三篇だが基本的にはシロの友・夕暮丸と雨藤の恋の物語。三篇とも好みのタイプの物語なので充実感を持って読了。「~いたはるところ」シリーズとは別の味わいを楽しめた。2024/07/26
よっち
29
ある日、ひろが偶然持ち帰った一幅の掛け軸。描かれている美しい藤の花と、燃えるような赤い毛並みを持つ山犬の絵に白蛇の化身シロが遠い昔の記憶を語り始める番外編。シロがかつて巨椋池の龍神・指月として畏れられていたころ、東山に棲み炎を喰らったという山犬・夕暮丸と、美しい藤の化身・雨藤との交流。水神シロがこれまでどのように生きてきたのか垣間見えるその色彩豊かなストーリーは美しくも切ないものがありましたけど、それでも最後に出会えて良かったと思いました。なかなか前進しなくてシロにも突っ込まれるひろと拓己の今後にも期待。2022/07/13
よっしー
26
このシリーズもこれで最後。前作はひろと拓巳の話でしたが、今回はシロが指月だった頃のお話でした。山犬である夕暮丸と出会い、夕暮丸が大切にする雨藤とも知り合い、時代の流れを感じながら時々友と会う時間を過ごしていた事に安心しました。一人だけど、一人じゃなかった。個人的には、池田屋事件に触れられていたことも嬉しかったです。2024/02/07
ぽろん
23
今回は、番外編。ただただ切ないいにしえの物語でした。2024/10/17
火狐@二児の子育て奮闘中
7
番外編。シロの平安時代からの友達との話でした~2024/12/25