内容説明
イルバス史上初、女性として王杖に就任したエスメは、女が人を導くことを学ぶため、友好国ニカヤで幼い王マノリトの後見人を務める女王ベアトリスの元で修行することになった。エスメは言葉を失ったマノリトの心を溶かすために奮闘するが、「女王は幼王マノリトを操りニカヤを乗っ取ろうとしている」という噂が流れ、イルバスへの不信感が日に日に膨らんでいく。その裏には歴史から消えたはずのイルバス王位継承者率いる謎の組織〈赤の王冠〉の存在があった。その頃、イルバス国内ではサミュエル、アルバート、それぞれの王の陣営に〈赤の王冠〉の魔の手が迫る!
目次
プロローグ
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
40
友好国ニカヤで幼王の後見人を務めている女王ベアトリスの元で修行することになったエスメ。だが政情不安の続くニカヤでベアトリスやイルバスへの不信感が日に日に膨らんでいく第四弾。言葉を失ったマノリト王の心を溶かすべく奮闘するエスメ。反政府勢力の陰に「赤の王冠」の存在を掴むギャレット。サミュエルの気持ちに気づかないエスメは微笑ましかったですけど、覚悟を決めて毅然としマノリト王が印象的で、イルパスの各陣営に「赤い王冠」の魔の手が迫る中で立ち上がるあのお人が次の主役ですかね。混乱が続く中でどう立ち回るのか楽しみです。2022/03/05
らび
26
思ったより周到に準備を進めていた赤の王冠。イルバスの3王を引き離し一気に攻め込むのだろうか。ベアトリスはまだ幼いニカウの王・マノリスの後見人としてそばを離れられない。サミュエルは謎の病に罹患しこれも赤の王冠の仕業かも?形勢不利な状態に表れたカミラ。逆転となるだろうか?2022/06/24
ときわ
22
マノリト王は、心を閉ざしているのでも言葉を失っている訳でもないという事が、彼の視点での独白で分かる。頭が良すぎる小さな子供は、周りの出来事や人々の想いが分かりすぎるから何も言えない。その事を周りの大人は察することが出来ずなすすべもない。ここに素直なエスメを投入したのは良かった。イルバスの三人の王が身動きできない状態になったとき、自由な立場で動ける人物が一人いた!すっかり忘れていたよ。次の巻でどう活躍してくれるのか楽しみにしている。2022/03/22
kokekko
15
現状でのシリーズ最新刊を3冊つづけて読んだ。ファンタジー大河を楽しんでいる。しかし気になるのは悪役の作り方で、ベアトリスの悪役だったサミュエルが次巻でエクスキューズ、サミュエルの巻で悪役だった王妃が次巻でまあいい人に、そして次の巻で……という構造。別に悪くはないのだけれど、この悪役デフレみたいな状況はいつまで続くのか。もちろん悪人が悪人ぶっていないのが現実世界の怖いところではあるが、仲良しごっこみたいになってしまうのも何かが違う。アデールの時代の物語が、やはり一番好きかもしれない。カミラ好き。2022/05/09
栗山いなり
9
常春の地ニカヤを訪れたエスメが幼き王、マノリトの閉ざされた心を開こうと奮闘する一方でそれぞれの王に魔の手が迫る王国記シリーズ第6巻。今回も物語は非常に熱く、激しく、何より廃墟シリーズらしさに満ち溢れていたと感じた。そして新たな人物の登場に更なる嵐の予感も感じさせた。文句無しに暫定今年ベスト小説2022/02/26