内容説明
王政復古を果たしたベルトラム朝。だが女王ジルダと第二王女ミリアムの姉妹間の反目は、王宮全体を巻き込んだひずみとなり、新王政に影を落としはじめる。姉たちの争いを止められない己の無力さや、政略結婚相手の幼馴染・グレンを思うように愛せないことに苦しむアデールだったが、常春の国・ニカヤで出逢った三人の国王兄弟たちや民との交流を通し、新たな可能性を見出していく。隣国カスティアとの戦争の兆しに、否応なしに厳しさを増すイルバスの情勢。アデールを愛するあまり、グレンは次第に常軌を逸した行動をとり始め……。果たしてアデールとイルバスの未来は!? 激動のクライマックス! ※本書は、eコバルト文庫「廃墟の片隅で春の詩を歌え」シリーズ3冊をもとに加筆修正をし、再編集したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
43
王政復古を果たしたベルトラム朝。だが女王ジルダと第二王女ミリアムの姉妹間の反目は、王宮全体を巻き込んだひずみとなり、新王政に影を落としはじめる第二弾。夫のグレンとともに向かったニカヤで出会った国王兄弟たちや民との交流を通して、新たな可能性を見出すアデール。一方で不可避となってゆく姉妹の対立、彼女の身を案じて次第に常軌を逸した行動をとり始めるグレン。王家を巡る秘密、大切な人を次々と失う喪失感に直面しながら、様々な思いを受け止めて、激動の展開を乗り越えてみせたアデールの生き様がとても印象的な一大叙事詩でした。2021/02/19
すがはら
31
グレンが…。愛する人が広い世界で生き生きしてるのを嫌がるタイプの人間って確かにいるね。独占欲の強いイケメンがヒロインを囲い込む話と言えば何か甘くて愉しいものに聞こえるのに。上手く折り合いを付けて幸せになって欲しかった。ユーリめ。ジルダに惚れてからこっぴどくフラれてしまえ。しかし、カスティアはアデール自身を倒さなくても王都と拠点を占拠して後は時間をかけて揺さぶれば良かったんじゃないのかな。罪人め!とか言って。周辺国も寄ってきて領土分割合戦しただろうし、鉱山が得られれば上々だろうに。アデールは強運の女神だね。2021/05/14
らび
30
波乱に満ちた女王アデールの生涯でした。王家の血・・がとても重要なのではない。血筋でない者にとってはそれが全て。2人にとっては母の今際の際の言葉は悪魔のささやきとなり彼女たちの人生に大きすぎる言霊になってしまった。誰よりも民の安寧を求めた廃墟の姫は自ら力強く立つ。こんな経験があったからのあの発想なのですね。グレンの強く激しい想いを理解できたのもずーっと寄り添っていたのもエタンの存在が際立っていたからこそ。彼無しに成し遂げられなかったでしょう。春の詩がとても良かった。2021/04/06
葵@晴読雨読
29
続きが気になって一気読みしちゃいました。 アデールの変化が凄い。2021/02/21
ブラフ
15
【図書館】シリーズ第3巻。ベアトリスたちの祖母・女王アデールの、女王戴冠までの物語終幕。なるほどなぁ。前巻では、どうしてもベアトリスの記憶にあるアデールと結びつかなかったが、人に歴史ありとはまさにこのこと。か弱き王女だったアデールが、強く偉大な女王となるまでの物語。やはり、このシリーズなかなか面白い。2022/09/03