集英社オレンジ文庫 王杖よ、星すら見えない廃墟で踊れ

著者名：仲村つばき【著】/藤ヶ咲【イラストレータ】

集英社（2021/03発売）

• ISBN：9784086803694

内容説明

王位継承権を持つ三人のきょうだいによる『共同統治』が敷かれるイルバス。末王子サミュエルが治める西部地域は貧しく、貧乏伯爵令嬢のエスメ・アシュレイルは食糧難を解決すべく、日々手を土に汚し畑仕事にいそしんでいた。丹精込めて育てた芋が盗まれたのをきっかけに、領地の窮状を王子に訴えようと決意したエスメ。頼りない双子の兄に代わり男装して王宮に出仕するが、当のサミュエルにまつわる噂は気難し屋だワガママだと、あまり芳しいものではなく……？　ふたつの星が巡り逢うとき、王国に新たな風がもたらされる！

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[よっち]

末王子サミュエルが治める貧しい西部地域。貧乏伯爵令嬢のエスメは食糧難を解決すべく、頼りない双子の兄に代わり男装し領地の窮状を王子に訴えようと決意する第三弾。共同統治が敷かれる中、年上の兄姉に出遅れ気味で焦燥を募らせるサミュエルとエスメの邂逅。真っすぐで自ら率先して事に当たる彼女の姿に、少しずつ感化されてゆくサミュエル。彼を溺愛するあまり暴走する王太后の干渉はあれでしたけど、サミュエルもようやくかけがえのない人と巡り会えた結末にはぐっと来るものがありましたね。相変わらず鈍感過ぎるエスメには苦笑いでしたけど。

2021/03/19

[すがはら]

面白かった！ヒロインの性格のおかげで全体に明るくて前向きな雰囲気が溢れてて、病んだ母親が絡んでいてもあまり不安感なく一気読みでした。最初はあの末っ子王子の話かぁと思って読むか迷ったけど。改めてニカヤの地名を見ると感慨深いです。ベアトリスとギャレットにももっと登場して欲しかったな。男性は王配と王杖を兼ねるのは大変とか言わないのに、王妃の役割はまた別なのね。女王はその辺も自分で担ってるのでしょうか。このヒロインなら周りが自然と協力してくれそうだけど。

2021/05/14

[らび]

これまでの作品からどうもサミュエルは末っ子甘えんぼ温室育ちしかイメージありませんでしたが、母のよすがになってしまって外に目を向けることを知らなかったが、エスメとの出会いから知るべきこと、やるべきことが見えてきましたね。まだうら若き王はしっかり者の王杖を迎え国を立て直していくことでしょう。

2021/09/17

[豆乳くま]

シリーズ物だったのね。でも大丈夫、単独でも気になりません。エスメは賢くガッツがあり好ましく応援したいキャラですが、サミュエル殿下はなかなかの甘ったれでわがままキャラで全然好きになれませんでしたが、エスメに出会って変わっていく、という意味では嫌な奴で良いのか、な。

2022/05/26

[ベル]

『ベアトリス』での末の弟、サミュエルのお話。かなり不安な末王子だったけど、内外から彼をそうさせていた母・王太后の存在が。彼なりに緑の陣営を治めようとしていたが、本人のあの調子もあって上手くいかず。そこへ貧乏伯爵令嬢のエスメが、貧しい領地の窮状を訴えるため男装して兄に成り代わり、王宮に出仕して来る。 ひねくれた弟と思ってたけど、わりと好感度アップ！兄姉に対するライバル心もあるだろうけど、ちゃんと国を治める王としての資質も自覚しっかりしていたので、これからはエスメと真っ直ぐ頑張れるはず。応援したい二人でした！

2021/03/28