内容説明
新年を迎え、神田花房町代地に居酒屋「ぜんや」が再建された。女将・お妙の絶品料理がまた食べられる喜びのあまり、馴染みの旦那衆は祝儀を沢山持参するが、お妙はとまどってしまう。一方、武家の次男坊・只次郎は、店の再建にあたって、「ぜんや」をより良く盛り立てていくある方法を提案していた。蕗味噌の握り飯、卯の花の炒り煮、土筆のきんぴら……料理の腕にさらに磨きをかけたお妙と、新たな商いを始めた只次郎がいよいよ急接近!? 傑作人情時代小説第九巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
230
商いを始めた只次郞。その只次郞の『春告堂』になんとも不穏な空気。そんな中で、お妙との仲はかなり進展。どちらも惚れあっているのに、一気に進展しないのは、おっさんの自分には、どうにも焦れったいわ。早くくっついててほしいね。今作は料理より、お妙の父の事件の真相の方が気になる展開。事件の真相、焦れったいけど只次郞とお妙の恋の行方、どうなることか次作をゆっくり待ちます。料理は土筆のキンピラ食べてみたい。。2020/09/28
いつでも母さん
190
新しい【ぜんや】開店!いつもの旦那衆の力強いことったらありゃしない。そして只次郎【春告堂】とは、素敵な名前がついて「おめでとう!」二人の仲はやっと前進したようで、流石に気持ちに蓋は出来ないよね。次回の最終巻には大団円を迎えるのだろう。それにしても大きな黒幕は誰?鶯の行方と共にいよいよ気になるところだが、誰も死んだりしないでと願うばかり。あぁ只次郎が好い漢に成長してるのがとても嬉しい。2021/05/05
タイ子
122
シリーズ第9巻。火事で「ぜんや」を失った女将のお妙が復活しました。お馴染みの常連さんたちの救いの手もあり、新しい店も再建し上々の滑り出し。鶯の飼育で名を馳せる只次郎も独り立ちしてぜんやの隣で商いを始めるが、何者かの仕業による嫌がらせが・・・。美味しそうな料理が今回も出てくる反面、お妙の両親の謎の死がからむ思惑が見え隠れしながらの展開は面白い。お妙と只次郎の嬉し恥ずかし姿を手伝いの熊吉が目にする様子が何とも可笑しい。恋の行方も事件の謎も気になりながら半年後の最終巻を楽しみにしております。2020/09/20
Nao Funasoko
116
祝「居酒屋ぜんや」再開。 夏のはしりの照り鯒づくし、羨ましいな。ご相伴にあずかりたい。謎の背景はさらに大きい力が動いている様子の中、只次郎はとうとう禁断の一品に手をつけちゃいましたね(笑)。ごちそうさまでした。 :-) 2020/09/16
のぶ
108
第9作目にあたる本作は、前作、火事で焼失した、ぜんやの再建の話から始まる。新しい店が開店し、店の活気が戻ってきた。お妙にも元気が戻り、馴染みの旦那衆も祝儀を沢山持参したりして店を盛り上げる。シリーズを通して共通している事だが、ぜんやで供される料理のおいしそうなところは変わっていない。旬の食材を教えてくれることも良い。本作でも鯒(こち)の旬が夏だと聞かされて興味深かった。只次郎が鶯の世話に打ち込んでいるのも相変わらず。いろいろ楽しませてくれた一冊だった。次作第10話が最終回らしい。どんな大団円になるのか?2020/10/31