内容説明
山王祭に賑わう江戸。神田花房町の居酒屋「ぜんや」の常連客たちも、炎暑のなか祭りに心を躍らせていた。出門を禁じられている武家人の只次郎は、屋敷で育てている鶯の調子を見ていたが、甥の乙松が高熱にうなされ、町人に扮して急ぎ医者を呼びに走ることに。帰り道「ぜんや」に寄ると、女将のお妙に変装を笑われながらも、“食欲がないときにいいもの”を手渡され……。一方、お妙は夢の中で亡き夫・善助との思い出を蘇らせる。体に良い旬の植物・食材の知恵が詰まった、美味しい傑作人情小説第五巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
258
今作は、いろいろ謎が解き明かされるような入口みたいな展開になりましたね。居酒屋ぜんやで、出てくる料理のシーンが少なめでしたね。食べたいなあという料理が出てくるのが楽しみにしてただけに、ちょっと残念だったかな。ただ最後の章だけは、これぞ居酒屋ぜんやという料理のシーンがいつも通りになったのは安心しました。次作はもうちょっと料理のシーンが多いと嬉しいな。2018/12/09
いつでも母さん
178
お妙の夫・善助の死がここに来て問題視される。そこに重蔵や近江屋の影が見え隠れするのだがなかなかハッキリせずに、次回以降に持ち越しかぁ。お妙の父が実はご隠居たちと繋がりがあったのも明らかになる今回。五巻目にして?とは思うものの今後の展開に期待したい。只次郎、助けた娘に惚れられるのはご愛嬌。2021/03/31
やま
151
居酒屋ぜんやの女将・お妙の作る美味しく、滋養のある料理から目が離せません。旗本の次男坊で美声の鶯メノウを持つ林只次郎とお妙の取り合わせが楽しい物語です。此度は、3年前のお妙の夫・善助の死が、他殺でないかという可能性が出てきました。善助が死んだ所から材木問屋近江屋が作り出して、まだ外に出していない新種の金魚「薄桃」が出てきたのです。お妙に想いを寄せる只次郎を、お勝が茶化すのを見ていると笑いがこみ上げてきます。シリーズ5作目。字の大きさは…小。2021.09.30~10.02読了。★★★☆☆2021/10/02
はにこ
116
お妙の父や夫と関わりがあったと分かった隠居達。より結束が強まった。しかし、近江屋の金魚を見たことにより、夫の善助が事故死ではないと思い出す。近江屋がキナ臭い。お妙が只次郎を信頼しているのが微笑ましい。重蔵も敵か味方か分からないし、次が気になりすぎる。2020/10/27
Nao Funasoko
105
シリーズ第5弾。初期と較べ料理の描写は抑えつつもしっかりと印象は残している感じ。本筋とのバランスがちょうどいい具合になってきたような気がする。ごちそうさまでした。2018/09/20