内容説明
あなたはまだ“新本格作家”笹沢左保の恐るべき実力を知らない!
有栖川有栖がセレクトした、笹沢左保のベストミステリ。
多重トリックで翻弄する記念すべき長篇第一作。
【有栖川有栖さん、大推薦!】
密室×アリバイ×暗号×?
いくつものトリックと罠を埋め込んだ1960年代の華麗な〈新本格推理〉。
この面白さは決して古びない!
裏切り者を消せ!――組合を崩壊に追い込んだスパイとさらにその恋人に誤認された女性が相次いで殺され、事件は容疑者の事故死で幕を閉じる。
納得の行かない結末に、倉田警部補は単独捜査に乗り出すが……。
アリバイ崩し、密室、暗号とミステリの醍醐味をぎっしり詰め込んだ、著者渾身のデビュー作。
虚無と生きる悲しさに満ちたラストに魂が震える。
〈トクマの特選!〉第一回配本。
〈目次〉
Introduction 有栖川有栖
招かれざる客
Closing 有栖川有栖
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
麦ちゃんの下僕
158
僕の中で笹沢左保さんといえば、いかりや長介さんの「取調室」や渡瀬恒彦さんの「タクシードライバーの推理日誌」といった“2時間サスペンス”のイメージ…今回が初読みでしたが、まさかデビュー作でこれほど濃厚な“本格ミステリー”を書いていたとは!? 前半は関係資料の列記のみでやや無味乾燥ですが(笑)…後半の倉田警部補の独自捜査を描いた手記が実に面白い!この作品の醍醐味は、何といっても真犯人が築いた5重の“壁”…アリバイ&密室&暗号etcとにかく“ハウダニット”てんこ盛りです!タイトルの意外な“意味”も良いですね♪︎2022/06/11
HANA
63
著者長編第一作らしいが、極めて王道のミステリ。前半で事件の内容が全て描かれ、後半で足の刑事の捜査によって事件の全貌が明らかになる構成。その為わかる人は前半で全て明察できるようになっているのが凄い。私?私は目星は簡単についたものの、トリックは見破れませんでした。アリバイ崩しと凶器の二つの壁が立ちはだかるのだが、双方ともにいくら考えてもびくともせず。凶器の方は思いついた方法が直後に否定される始末だし、もう一つの方の動機がいくら考えても…。という風にミステリの楽しみが、これでもかというくらい詰まった一冊でした。2024/03/19
geshi
35
当時隆盛の社会派要素を取り込みつつ、密室ありアリバイありの本格推理。前半は週刊誌記事や警察の聴取などで三人称的に事件の概要を見せ、後半は一人の刑事の孤独な操作と推理に絞って一人称的に見せる構成には腕を感じる。捜査会議のシーンは謎の検証とブレインストーミングになっていて効果的。ただし密室トリックは「それは無いって言ってたやつじゃん」となるし、アリバイトリックは無知筋だと思うし、本格推理としては弱い。最後のホワイダニットがタイトルと繋がり犯人に陰影を与えたのは物語としても良かった。2021/11/29
マツユキ
19
有栖川さんにつられて、初笹沢左保さん。二人が殺された事件は、容疑者の事故死で終わるが、休暇中の刑事があることに気づき、調査を始める…。女性も色々。タイトルは、そういう意味だったんですね。表紙も含めて、インパクトがあります。時代を感じる男女の人間関係ですが、面白かったです。あまり詳しくないけれど、社会派と、大好きな本格、両方楽しめました。2022/05/06
くろねこ
19
徳間文庫の新しいレーベルが出たのでそのお祝いに購入してみた初・笹沢作品! とはいえ、失礼ながら存じ上げませんでした…🙇♀️ 背伸びして読んだせいで、序盤は文章に馴染みがなくて聴取のシーンは特に「片仮名!」ってなって恐ろしく読むのに時間がかかったけど後半はスルスル読めて結果キチンと事件を解決できたのでめでたしめでたし。。 でも真相は哀しくて、警部補がいうほど犯人が悪魔には思えなかったな…身勝手な犯行もあったけど。。2021/11/28