内容説明
・「オーウェン・バーンズ」シリーズ第3弾は
連続・予告・不可能・見立て殺人!
・「探偵のなかの探偵、オーウェン・バーンズがお力添えに参りました」
殺人を芸術と嘯く美学者探偵が挑むのは、「世界七不思議」見立て殺人!
・【特別寄稿】時を越えた名探偵の共闘!
刊行を記念した芦辺拓氏によるトリビュート短編『解凍された密室』収録
ある灯台守は荒波に閉ざされ、密室と化した灯台で生きたまま焼かれた。
――「アレクサンドリア大灯台」
ある貴族は衆人環視下で、虚空から放たれたとしか思えない「女神の矢」に射抜かれた。
――「エフェソスのアルテミス宮殿」
警察に「世界七不思議」に見立てた犯行予告を送りつけ、次々とそれを成し遂げる謎の連続殺人鬼。捜査に乗り出した美学者探偵・オーウェン・バーンズのもとに、「私は犯人を知っている」との報せが届く。ある令嬢を巡っての恋敵であるふたりの青年が、互いを犯人だと名指ししたのだ。
令嬢はパーティの席上で、彼らに言い放ったという。「わたしを愛しているなら人を殺してみせて。美しき連続殺人を」。
不可能犯罪の巨匠ポール・アルテが贈る、絢爛たる「殺人芸術」!
刊行を記念した芦辺拓氏によるトリビュート短編「解凍された密室」も収録。
目次
第一部 イカロス
第二部 ネテル
第三部 アトン
エピローグ
解凍された密室――ポール・アルテ氏に捧ぐ(芦辺拓 特別寄稿)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
30
本当に終りまで考えて作ったのか?世界七不思議になぞらえた不可能犯罪が次から次へと提示されるが、数が多すぎて検証している余裕が無いから、状況だけで謎を解けと言われているよう。2人の青年が互いを犯人だと名指しし合う相克関係のドラマを見せるのかと思いきや、盛りあがりも激情も無く、ただ平坦。何の面白味も感じないまま解決編に向かい、探偵と犯人だけの間で全てが終わってしまった。エピローグも正直どうしたいんだか分からないオチだった。ひとつの連続殺人としてではなく短編集として分けた方がまだマシだった気がする。2020/10/09
ハスゴン
27
久々に読みましたが、フランスのホームズとワトソンを読んでいるみたいで本格要素も盛りだくさんで、シリーズから目が離せません。2021/10/13
ふう
13
不可能犯罪のオンパレード。そしてラストに怒涛の謎解きw なんかファンタジーだなーこれ。長さの関係あったにしても、芦辺拓のトリビュート短編を別冊に、「粘土の顔の男」を本編にしたほうがよかったんじゃないかと個人的には思う。2021/03/05
engidaruma2006
8
「フランスのディクスン・カー」と言われ、ひたすら不可能犯罪物のミステリを書き続けている著者の新作。以前からアルテ作品が大好きなので、出版社が大手の早川から全く無名の(失礼)行舟文化に代わり、どうなるのか心配だったが、今の所コンスタントに出版してくれている。非常に有難い。 但し、今作はイマイチ。著者の作品中、一番ガッカリした。立て続けに密室殺人や足跡の無い殺人などの不可能犯罪が7つ起こる展開で、期待が膨らんだが、嘘の様に呆気無い解決だった。7つのトリックに全く感心出来ない。アイデアの枯渇か? 違うよね?2020/11/17
ソルト佐藤
8
今年もアルテが出た! うれしいところ。今回は七不思議の見立て殺人。そのため、殺人事件がぽいぽい出てくる。あんまり長くないのに七人殺す必要があるので(笑 テンポが良くてよい。昨今のなかなか事件が起きない話が多い中だとなおさら。他の人のの意見もあるとおり、事件一つ一つの書き込みがちょっと少ない感じもするけれど、その代わり早い展開がうれしい。しかも、それぞれが不可能犯罪と来ている。そして、終盤まで一つも解ける気配がない。バーンズ、どういうこと?(笑 そして、最後に怒濤の連続の謎解き!2020/09/23