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精神疾患は脳の病気か?―向精神薬の科学と虚構

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  • サイズ A5判/ページ数 325,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622073611
  • NDC分類 493.71
  • Cコード C0047

出版社内容情報

向精神薬の作用の根拠となっている、精神疾患の生化学説は科学的に信用できるのか?不問にされてきた精神薬理学の脆弱さを衝く。

内容説明

いまや心の病に先ず薬が処方される時代である。だからこそ、精神薬理学の脆弱な側面や、薬をめぐる社会・経済の力学の現状を、率直に指摘する声が必要だろう。本書はそのような時代の要請に応える情報源として、刊行以来引用されつづけている著作の待望の邦訳である。前半の章では、精神疾患や薬の作用の理論として許容されてきた主要な学説の科学的根拠を、一次文献の精査によって検証する。ニューロンと薬物の相互作用に関する科学が長足の進歩を遂げたことは疑うべくもないが、その進歩は必ずしも、精神疾患の原因や、薬が病に効く仕組みの解明には直結していない―。この事実が、十分認識されないどころか積極的に軽視されているとしたら、そのこと自体が深刻な病ではないだろうか?本書の後半は、精神医療や向精神薬の開発・販売が、おもに社会戦略的な事情で、矛盾の多い仮説に依拠せざるをえないという現状をつぶさに描き出す。

目次

第1章 はじめに
第2章 向精神薬の発見
第3章 薬の作用の理論と精神疾患の生化学的原因説
第4章 証拠を精査する
第5章 証拠の解釈
第6章 製薬業界はいかに精神障害の薬を宣伝し化学説を推し進めたか
第7章 他の特別な利益団体
第8章 繰り返し、結論、考察

著者等紹介

ヴァレンスタイン,エリオット・S.[ヴァレンスタイン,エリオットS.][Valenstein,Elliot S.]
ミシガン大学心理学科、心理学・神経科学教授。情動や報酬の感覚に関わる生物学的要因や、ホルモンが行動に及ぼす作用など、行動神経科学のテーマを専門として長年研究に従事し、精神疾患の身体療法の歴史にも精通する

〓刀浩[クヌギヒロシ]
1986年東京大学医学部卒。1994年ロンドン大学精神医学研究所遺伝学部門留学、1998年帝京大学医学部精神科学教室・講師を経て、現在、国立精神・神経センター神経研究所、疾病研究第三部・部長、早稲田大学理工学部客員教授。医学博士、精神保健指定医

中塚公子[ナカツカキミコ]
翻訳家、通訳ガイド、英語教師。東京大学理学系大学院生物化学専攻、1986年博士課程修了。理学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ステビア

25
著者は、①精神疾患の生化学的メカニズムには実はまだわかっていないことが多い、②その不確実なメカニズムに基づいた薬物療法の効果も、世間で思われているほど確実ではない、③それでも精神疾患に対する薬物療法が支配的なのは、製薬会社の戦略の結果である、と主張する。/左記に関わらず、著者は薬物療法を完全に否定するわけではまったくない。限界の自覚が大事と説く。/精神疾患に生物学的要因があるからといって、常に生物学的治療が最も有効であるとは限らない。生物・心理・社会の三側面に満遍なく注意することが重要なのである。2022/07/06

takao

3
ふむ2023/12/05

またの名

3
向精神薬に依拠する精神医学の問題点を追及する。①その他の治療法(精神療法など)に比べて明らかに優位な効能は確証されていない②ドーパミン仮説やレセプターの受容機能に基づく薬物療法は説得力のあるエビデンスを持ってはいない。それらの脳機能に関する知見はいまだ論者ごとに異なる憶測の域を出ない③薬物療法を推進するいわば「向精神薬ムラ」とも言うべき業界構造があり、巨額の資金とキャンペーンが動員されているーー現代思想系の生ぬるい理論や、統計・データの杜撰な援用からなる論文からは見えてこない実態。これでもまだ穏便な議論。2013/01/04

Teo

1
向精神薬が万能であるかの様な風潮に疑問を呈する内容。興味深いが、ちょっと古いので現在の知見が欲しい。2008/05/26

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