内容説明
前漢の中国。匈奴より河南を奪還し、さらに西域へ勢力を伸ばそうと目論む武帝・劉徹は、その矢先に霍去病を病で失う。喪失感から、心に闇を抱える劉徹。一方、そんな天子の下、若き才が芽吹く。泰山封禅に参列できず憤死した父の遺志を継ぐ司馬遷。名将・李広の孫にして、大将軍の衛青がその才を認めるほどの逞しい成長を見せる李陵。そして、李陵の友・蘇武は文官となり、劉徹より賜りし短剣を胸に匈奴へ向かう――。北方版『史記』、激動の第四巻。(解説・池上冬樹)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
67
戦闘場面は殆どなく、登場人物たちの会話や自己の対話が多い感じがしました。漢と匈奴の戦いは一旦幕を閉じ、静かに物語が流れているようですが、それがまたいいですね。今まで活躍していた衛青が死に、劉徹が迷走し始めるも、大きな流れはありません。頭角を現して来た李陵が漢の新たな可能性なのでしょうか。物語は登場人物を変え、どう動いて行くのか。新章の幕開けですね。2015/02/10
Kircheis
50
★★★★☆ 衛青も死に、これからは李陵が中心となって引っ張っていきそう。そもそも北方さんが中島敦の「李陵」に憧れて書いたのがこの「史記」だから当然か。 李陵の親友蘇武や「史記」の本来の作者司馬遷も今後活躍の予感。2018/03/04
さいたまのたぬき
47
武帝紀第4巻。 読んでいてその判断の悪さに思わず 物語なのにイライラとさせられてしまうような 劉徹の状況が描かれる。 出自が似ているというだけで 才能のかけらもない人物を取り上げたり 反対に思い付きで若い才能を潰したりし始める。 英邁な君主も一度歯車がずれるとこうも たわいもない状態になってしまう。 反面匈奴では兄弟が次々と単于を担い 逼塞していながらもじわじわと力を蓄えていく。 李陵、蘇武、司馬遷とこの後物語の中心に 躍り出る人物が現れ始めるところがなかなか良い。 2015/11/05
ななこ
40
衛青が可愛がっていた李陵が、頭角を現し始める。幼馴染の蘇武は、李陵と比べるとどうしても…という所があったけれど、匈奴の地へ派遣されてからは男前!敵国へ使節として行くなんて、本当に死を覚悟していなくちゃできない事だなぁ。衛青、霍去病がいたころには輝きを放っていた帝は、死への恐怖へと取りつかれるようになり、愚帝への第一歩を踏み出してしまった。漢の外側から見た帝への評価が、あまりにも酷い。頂点を極めた人間というのはこうやって堕ちていくのだろうか。反面、匈奴の呴犁湖はなんと潔い事よ。2016/05/15
シュラフ
39
組織の仕組みというものがよく書かれており、いいわるいは別として組織人としての身のこなし方の参考になる箇所が多いのではないだろうか。「心の中では、決めておられる。どうやって、それを言葉にしていただくかだ」。これって、さいきん流行の忖度(そんたく)というやつであろう。聡明だった帝が専制君主のようになってきて、臣下たちは帝の言葉の行間からその意向を忖度しなければならなくってきた。帝の意向を忖度する形で泰山封禅が行われ、漢はその威を匈奴に見せつける。匈奴との戦いにおいて、漢の威力が頂点に達した時である。2017/05/20
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