講談社学術文庫<br> 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元

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講談社学術文庫
中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元

  • 著者名:杉山正明【著】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 講談社(2021/02発売)
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  • ISBN:9784065223109

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内容説明

「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版、第5回配本の第8巻は、中原の「中華王朝」を脅かし続けた北方遊牧民の興亡史。
8世紀半ば、唐王朝を揺るがした「安史の乱」は、600年におよぶ大変動の序奏だった。耶律阿保機のキタイ、李存勗ひきいる沙陀、李元昊の西夏、完顔阿骨打の金。多極化と流動化のはてに、歴史の統合者たる大モンゴル国が浮上する。13世紀に世界史を大きく転回させた「大モンゴルの時代」は、突然訪れたわけではなかった。
中国王朝史のなかで忘れられた英雄・耶律阿保機が、10世紀初頭に建国した「キタイ帝国」すなわち大契丹国は、中華風には「遼」と呼ばれる。現在の中国東北部から東モンゴルを領域とし、北宋を圧迫したが、1125年、金により滅亡する。その後、耶律大石が中央アジアに建国した「第二次キタイ帝国」は、「西遼」「カラ・キタイ」と呼ばれる。タングト族の李元昊が1038年に建国した大夏は、中華からは西夏と呼ばれ、1227年、モンゴルにより滅ぶ。ジュシェン族(女真族)の完顔阿骨打が建国し、北宋を滅ぼした金も、1234年、モンゴルにより滅ぼされる。
そして、チンギス・カンに始まる大モンゴル国は、5代皇帝・クビライの時代にユーラシアの海陸を覆う世界帝国となった。この超域帝国の宗主国を、中華風には「元」と呼ぶ。グローバル化の扉を開き、現代へと続く巨大帝国誕生のドラマ。〔原本:2005年10月、講談社刊〕

目次

はじめに 世界史のなかの中国史
第一章 巨大な変容への序奏
第二章 キタイ帝国への道
第三章 南北共存の時代へ
第四章 失われたキタイ帝国を訪ねて―歴史と現在を眺める
第五章 アジア東方のマルティ・ステイト・システム
第六章 ユーラシアの超域帝国モンゴルのもとで
おわりに グローバル化時代への扉
主要人物略伝
歴史キーワード解説
参考文献
年表
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tomoichi

17
宋まで時代が進んだと思ったら、ここで唐の安史の乱から再び始まる本書は、遼・西夏・金・元と北方の草原国家の興亡を中原地域との関係性から語られる。ほとんど知識がない内容だったので、改めて支那とは何かという事を考えさせられた。本書のほとんどはキタイ帝国の話で、元の話も結構あっさり。次は元の自滅で誕生した明とそれを滅ぼした清のお話。2022/11/19

さとうしん

14
今となっては古松崇志『シリーズ中国の歴史3 草原の制覇』が完全にこちらの上位互換になってしまっている。契丹に関係する部分が多くを占めるという構成も同様。ただ第四章の現地調査記は、この手の通史としては異例の内容ながら今読んでも面白い。文庫版あとがき等、その後の研究に関するコメントがないのも物足りない。2021/02/18

maqiso

3
唐の領域は狭いが安史のようにソグド系の勢力も活躍した。耶律阿保機は遊牧部族の連合体だったキタイをまとめあげ、草原と中華にまたがる帝国を作った。中華ではキタイ・沙陀政権・唐の軍閥が互いに争ったが、キタイ帝国と北宋が澶淵の盟を結ぶと平和が訪れ、西夏・金・南宋もそれを受け継いだ。モンゴル高原を統一したチンギスは圧倒的な軍事力でユーラシアを征服した。後継者争いなどで分裂したが、クビライの大元ウルスを中心とする世界的なシステムができ、陸海の交通も栄えた。中国の正史は中華偏重が強く、特にキタイは解釈が難しい。2021/07/12

思路夢

1
モンゴル研究の大家が中国通史シリーズの唐末から元末までを担当。ただしその射程は中華を超えて,「北方異民族」を包含したものとなる。中心となるのは,「五代期」における北方キタイ帝国(「遼」)と華北の拓跋諸勢力との争いの歴史であり,専門のモンゴルについては短めの記述。このことから返って,著者の史書に対するスタンスが明確に解るのが面白い。というわけで中国「正史」の中華中心主義によるバイアスが批判的に検討され,「異民族」諸政権の再評価がなされる。なかでも『資治通鑑』とその編者司馬光の評価はほぼ歴史改鋳者扱いである。2022/11/28

山陰 柴

1
今の中国を見る時に圧倒されるのは人口、広さ、多種族民族に驚かされる。巨大である。この本では9C末〜14C末に漢族の夷狄の征服王朝を説く。世界帝国の唐帝国と歴代の学者は展開してきたが、過大評価だと指摘している。本論では今の中国よりロシア共和国、イランまでを飲み込んだ大元ウルス(元)までの歴史を辿った。契丹王国の農耕民ー遊牧民の共存政策、ユーラシア全土を多民族、多文化を受け入れていく。ペルシャ語を国際語にムスリム商人、華僑の国際通商を奨励し自由経済政策をとった。人種、宗教の差別もない大帝国だった。学ぶ事多い。2021/09/07

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