内容説明
これまで何度もリチャードを妨害してきた富豪の少女オクタヴィアに、スリランカ随一の山岳リゾート地ヌワラエリヤのホテルへと呼び出された正義とリチャード。そこで待っていたのは、オクタヴィアとヴィンセントだった。ジェフリー、ヘンリーとも合流し、一行は力を尽くす。リチャードを何度も妨害してきたオクタヴィアの目的とは何だったのか。そして正義とリチャードの関係の行方は? 第二部、完結!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カナン
77
二部完結。今はただ、おめでとうとありがとうをこの作品と作者に贈りたい。少女オクタヴィアの復讐は稚く寂しい祈りであり、ヴィンスの願いも親鳥が雛を庇うような慈愛に満ちていた。心を壊しかけていたはずの長兄ヘンリー、胸が震えた。やっぱりだ。やっぱり貴方も弟達に負けず劣らず凄まじく強い人だ。ジェフリー、貴方に幸せな場所があって本当に良かった。心から良かったと泣いた。リチャード、貴方が探し続けた場所が、やっと見つかったね。正義、君の成長にはいつも驚かされます。その真直ぐな心でリチャードの手を決して死ぬまで放さないで→2020/06/19
凛
67
シリーズ10作目にして、第2部完結。正義、リチャードにジェフリー、ヘンリー、オクタヴィアにヴィンス。泣きそうになったり、ときめいたり、色々あったけれど、皆それぞれの「あるべきところ」へ。皆にお幸せに!と心から言いたくなるような結末だったことが嬉しい。特に、辛いこと、悲しいことは全て自分一人で抱え込むことが自分の役割だと思っているようなジェフリー。正義の就職先はちょっと想像の斜め上の方向でびっくりしたけれど、確かに言われてみるとらしい選択かなと。これこそ「あるべきところ」なのかな。第3部も楽しみに待ちたい。2020/06/24
ぽんすけ
65
2部の最終巻にふさわしい話だった。人への優しさと決意とに満ちていて余韻がすごい。今まで三人の中で一番弱い弱い言われてたヘンリー。彼が立ち上がって、家や自分を取り巻く状況に向き合った姿が、本当に伯爵様として、3人の中の一番上の兄として立派で素晴らしいと思った。そしてジェフリー。この人今までも必要以上に自分をチャラく見せてたけど、本当は3人兄弟(もう兄弟でいいよね)の真ん中でめちゃくちゃ自分を責め続けて、家の歪みやいろんなモノを抱えてきて我慢してきたんだよね。ヨアキムさんは素敵な人だしぜひ幸せになってほしい。2023/01/19
坂城 弥生
65
オクタヴィアは死にしか救いを見出せない状態だったみたい。だから自分が救いに飛び込む前に大好きなリチャードに幸せになって欲しかったんだろうな、と。別に可哀想ではない、哀れむ人も居るかもしれないけど、ただ自分を消したい。 ヘンリーとの関係が、周りの人との関係が生きる気力になるのかも。 最後のパーティー正義が繋いだ『絆』を感じたよ。2021/02/05
garnetrose0211
54
呪いのような遺言からは解放されたものの、まだ解決していないクレアモント伯爵家の問題とそれらの人間関係と拗れた個人感情が語られた第二部でした。今回の推しはヘンリーです。見違えるほどの行動力と威厳を見せてくれています。あの、瞬間最大風速計測不能の史上最大級のサイクロン‼︎ お見事でした。下村晴良、良い仕事をしました! 素晴らしい。そう遠くないうちに、オクタヴィア嬢がヘンリーに心を開いてくれますように……。2020/06/27