内容説明
病に伏せがちな母と貧しく暮らしながら楽しくない学校へ通うみのるは、ドラッグストアで絆創膏を万引きしたところを店員に見つかってしまった。が、ポケットの中にあるはずの絆創膏はいつの間にか、背後にいた不思議な男の手の中にあった。「中田正義」という名前のその青年は、みのるの親戚を名乗って再び現れ、二人は共同生活を始める。すると誰も住んでいないはずのみのるの家の隣のジャングル屋敷に、誰もが唖然とするレベルの性別を超えた金髪美貌の男が出没。『幽霊』かと思いきや……。横浜山手を舞台に、大人気シリーズ、第三部開幕!
目次
case.1 少年と螺鈿細工
case.2 友達とブレスレット
case.3 女の子とダイヤモンド
case.4 少年と螺鈿細工と真実
case.4.5 大人たちと名刺入れ
extra case. その頃のエトランジェ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽんすけ
68
正義がめっちゃ大人な男になってる。普通にデキる男じゃないですか~。リチャードと二人三脚で2部終了してからやってきたんだろうなと感慨一入。この巻から主人公はみのる君になるのかな。この子も本当に大変な境遇だけどいい子に育ってる。性格からビシバシ血の繋がりを感じる。この子の視点から見るリチャードと正義っていうのが新鮮で、また二人とのやりとりがものすごく温かい。ジャングル屋敷の幽霊さんとの交流最高です。思わず微笑みがこぼれるわ。みのる君を気遣って一緒に住んでなかった二人だけど、最後同居できるようになって良かった。2023/01/23
よっち
57
ドラッグストアで絆創膏を万引きしようとした少年・霧江みのるが不思議な男と出会い、その出会いから二人の運命が交錯してゆく第三部第一弾。病に臥せがちな母、楽しくない中学校、乏しい家計収入、そして誰も住んでいないはずの屋敷に出没する幽霊。不安だらけのみのるの前に現れた親戚だという男・中田正義によって激変する日常。みのる少年視点で描かれる正義やリチャードたちの数年後が描かれていて、正義がだいぶ落ち着いた頼もしい青年になっていて、でも時折見せるらしい姿にぐっと来るものがありました。他の登場人物たちのその後にも期待。2022/08/04
カナン
46
鑑定と離れているという感想も散見されるが、そもそも宝石商という視座から、独りではどうにも出来ない人生の困難を如何様に乗り越えていくかを提示するのがこのシリーズの本質だと思っている。忌々しい親に似た容姿、家柄が故に逃れられない絶望や恐怖、育児放棄や暴力、己の存在の否定。全ては心当たりがある読者には突き刺さる刃だ。それでも全身全霊を持って対峙することを選ぶこと選択した主人公達が愛しい。死にたくなっても殺したくなっても破滅を希望しても、彼らは自分の人生を決して諦めない。この尊さを忘れた時こそ人は化物になるのだ。2023/03/14
よっしー
31
完結したと思っていたら、まさかの第3部が始まっていて、ビックリしてしまいました。今回の主人公は中田正義ではなく、中学生のみのるくんでした。最初は正義とリチャードのやり取りが見れず、残念に感じていましたが、相変わらずのようで安心しました。そして、みのくるん視点での正義やリチャードがまた面白くて…。彼の将来も良いものとなります様に…。2024/02/14
tora
27
宝石に、LGBTQやアセクシャル、ステップファミリー、DVサバイバー等をからめてきたシリーズの第3部。今回のテーマは「ヤングケアラー」かな。楽しめました。2022/06/26