内容説明
七月革命後の混迷のパリを舞台に物語は核心部へ。コゼットとの愛を育みつつ反政府秘密結社員として活動を続けるマリユス、彼を慕うエポニーヌ、浮浪児ガヴローシュ……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
41
テナルディエは決して良くは描かれない。他方で虐待を受けている彼の子供達は親とは全く違う人格として魅力的に描かれる。作者は意識的に大人と子供を描き分けている。ガヴローシュはネグレクトを受けていたが故に親の影響を受けていない。エポニーヌはマリユスに惹かれることで自我に目覚め、親からの自立を果たす。その象徴的な出来事として隠語を捨てる。隠語の考察には第7篇が充てられている。自らスティグマを外して別の生き方をしようとするエポニーヌと、ジャベールに追いかけられスティグマに苦しめられるヴァルジャンが対照的に描かれる。2023/09/08
うぃっくす
12
筆者の思想とか解説が多くてけっこう読みにくかったけど隠語の中にパン泥棒 rat(ねずみ)ってあって、え、パンどろぼうってもしかしてここから…と思ったりした。それは置いといてテナルディエ夫婦はすごく下品なのにエポニーヌとガヴローシュは純粋な魂の持ち主って感じで魅力的だった。マリユスとコゼットが愛を確かめあってる横で報われないとわかっていながらマリユスの幸せを願うエポニーヌの献身性が泣ける…こういうの弱いのよね。あと最後のジャンヴァルジャンの激しい怒りとか気になるのにここで終わるんかい。早く続き読もう…2024/03/14
読人
1
第四部は恋愛(プリュメ通り)から革命(サン・ドニ通り)へテーマが展開。バリケードの場所がマップで調べてもわかりにくく、読んでいても空間・方向感がちょっとすっきりしないところがある。「隠語」はフランス語を理解しない人は別に読まなくて良い、と著者が考えていそうと感じさせられる書きっぷりでいかにもフランス人ぽい。マリユス、コゼットはもちろん、エポニーヌ、そしてジャン・バルジャン。愛は人を良くも悪くも変える。ジャンバルジャン、どうするんだろう?2023/09/16
五十嵐
0
マリユスとコゼットの悲恋を中心に、人格者ジャン・ヴァルジャンの嫉妬、エポニーヌの片想い、ガヴローシュのピカレスク的冒険譚など、群像劇の様相を呈する。2023/05/23