内容説明
王党派貴族を祖父にもつ青年マリユス。社会主義に感化され恵まれた身分を捨てた彼は、公園で毎日出会う未知の少女コゼットに惹かれていく。運命の大転機となる出会い。(全5巻)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
42
主人公が変わった気持ち悪さで、男女を描くというのは安易だと読み進める。しかしマリユスはパズルのピースであり、テナルディエが登場する後半から俄然、面白くなる。マリユスは視点や主人公ではなく第三者の審級だった。登場人物が隣室で行われていることを覗くという設定が、単に客観描写で描かれるよりも読者の緊張感を高める効果を生んでいる。ヴァルジャンを「ルブラン氏」と表現したのはマリユスのナラティブだが、マリユスの立場から審級を構成し、読者が知っていることとのズレによって謎を生み出す。「ジョンドレット」がテナルディエと名2023/09/05
みつ
29
この巻は「マリウス」。大ブルジョワを祖父に持つ青年マリウスは、ワーテルローの戦いでテナルディエなる者が父の命を救ったと知る。祖父の元を出た彼は、公園で初老の人物と共にいる少女を見初める。この辺りで二人が誰であるか読み手(である自分)は見当がつくが、巻の最後までその名前で呼ばれることはない。娘二人と極貧の生活を送る隣人のもとを慈善家が訪れ、彼の正体を知った隣人が悪巧みを働かせる・・というあたりで彼らの正体も読者にわかるというしつらえは、緊迫感を高める。ここにジャヴェールまで登場する終わり近くは圧巻の一語。2024/11/13
コニコ@共楽
15
長篇5巻のうち、3巻目を読了。テーマはマリユス。コゼットの恋人登場だ。いよいよパリの「惨めな人々たち」(レ・ミゼラブル)、浮浪児、貧乏人たちのことが生々しく語られる。第3篇「祖父と孫」では、ユゴーの体験が元になっているということだ。王党派、ナポレオン派とフランスの社会が揺らいでいることがわかる。後半、テナルディエ夫婦の企みのシーンは一気に読ませるサスペンス。ユゴーは難しい理論、哲学を説くところもあるが、物語が動き出すとその面白さは絶品だ。第4巻へ。2026/05/31
湿原
14
「les misérables」という書名の意味が、この三巻にてついに明確に浮かび上がる。序盤のパリの浮浪児問題、そして「パトロン•ミネット」というパリ最大の悪党集団を取り上げ、社会の闇を映し出す。マリユスのように、品位を保った貧乏暮らしをできる人間は滅多にいない。不運な者は恥知らずな者となり、物質的にも精神的にも「貧しい人々(レ•ミゼラブル)」に成り下がってゆく。この人々には光が必要だとユゴーは言う。光は科学、文学、芸術、教育から生まれる。この光を彼らに照らし暖めてなければならないと。私は、2025/05/17
うぃっくす
9
大きな舞台なはずなのに人間関係が狭いな。テナルディエが落ちるところまで落ちてた。マリユスが極限状態で父をとるか愛する女をとるか、って悩むところ私もはらはらしちゃった。パリの昼と夜、って感じで面白かったな。続きを早く読まないと…2023/12/21




