内容説明
平凡社ライブラリー創刊25周年企画、待望の『中世思想原典集成』文庫化全7巻完結。本巻は13~15世紀の神秘家たちのパノラマ。エックハルトからクザーヌスまで。巻末エッセイは山内志朗。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
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教会を持たない托鉢修道士達は、中央教権に容認された後も各地で布教を行う。布教は多文化の交差する交易都市を中心とし、マリョルカ島やケルンがそのハブとなる。修道士に対してラテン語テクストの釈義を中心に行われる教会説教と異なり、彼らは、現地の習慣に染み込んだ民俗宗教に古代のギリシア教父の霊性を並置して、教会から異端とされる考えをも女性を含む民衆に直接現地の言葉で語り、聖俗混交した神秘主義を形成していく。一方、段階を経ずに至福を直観し、神的合一を目指す彼らの身体は、ペストが蔓延し大量死していく現実に覆われている。2020/03/19




