内容説明
越は呉を奇襲すべく密かに大量の船を造っていた。この報を受けた伍子胥は策を練る。不吉な予感がした范蠡はそれを越王・公践に伝えるも、句践はそのまま秘策を実行する。だが、すでにその作戦を把握していた呉の攻撃により越軍は敗退、ついに呉軍に追い詰められてしまう。会稽山へ逃げ込んだ句践は、呉との講和をやむなく受け入れ、囚われの身となる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
呉越春秋の物語の第8巻です。単行本では最終巻9巻目が出たようで、いよいよ最終局面を迎えます。それぞれの国の重臣である伍子胥と范蠡の知恵比べというかそれをうまく物語にした宮城谷さんの構想力はやはり大したものだという気はしました。最終巻が出たらまた最初から通して読まないと忘れてしまいます。2019/10/23
Tomoichi
21
ついに呉の反撃が始まり、越は返り討ちにあい滅亡の淵に。伍子胥の結末を知っているだけに次巻に進むのが辛い。2020/02/29
Book Lover Mr.Garakuta
20
面白い。面妙に尽きる作風で、当時の人たちが現代によみがえったらどうなるだろうかと思いながら読んだ。物語も、最高の熱気を感じ乍ら最終巻へ。にしても、本を通じて過去の出来事から学べる事も多いと思うし、恨みつらみだけで、争うのもあまり歓迎できないなと思った。2020/11/10
しんすけ
16
范蠡は何事も成すにあたって事前に回答を得るように心がける人だったと思われる。そして満足な回答が得られない場合はその途を回避するように心がけていたと推定できる。 だが越王勾践は呉との戦いに臨む段階では、まだ范蠡の真価を認めてはいなかった。呉王闔閭を破った余韻が勾践の中に残っていたのであろう。 伍子胥以外は情報収集に疎い呉だったが、成り上がりの越にとってはまだ戦いの強者だったのだ。 越は破れ越の民の生活は破壊されかねない状況になってしまった。2020/11/23
サチオ
11
相互で裏をつこうとした呉越の激突により明暗がはっきり分かれる中、伍子胥と范蠡もそれぞれ奮闘し苦悩する。敵味方それぞれを主観でみれるのは面白いがいよいよ次で最終巻、文庫化が待てるだろうか…。2020/01/21