内容説明
戦うために生きるのではない。生きるために戦うのだ。楚の人、伍子胥は、呉との国境近くの邑・棠を治める兄・伍尚(ごしょう)を助け、配下に逸材を得る。ある日、呉の大船団二万五千が江水をさかのぼり、楚はこれを迎え撃つ。そのころ、太子に仕える伍子胥の父・伍奢(ごしゃ)と、兄の伍尚には、同じ楚の佞臣・費無極の陰謀が忍び寄っていた。内部の謀略に、どう立ち向かうのか! (講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
86
第2巻は、5人の部下を得るものの、父親や兄には陰謀の影が、ということで今後かなり波乱万丈の状態が予想されます。このような歴史ものというのはある程度結末がわかっているので安心して読めますが、そのためにはかなり起伏をつけていくことが要請されます。宮城谷さんはそこのところがうまくなってきている気がします。2015/09/18
Book Lover Mr.Garakuta
23
かなり面白い小説で、中国の任侠物的な作風が色濃くうかがえる。実際に空想世界を駆け抜けるかのごとく面白い作品で、歴史的時代小説を共に歩んでいるかのごとく面白い。2020/10/19
Haru
22
棠邑での穏やかな日は続かず、費無極の姦計により父と兄が捕らわれる。ここで兄の家臣として集めた人材が活きてくる。特に、武芸には秀でていないが…と自推してきた朱毛が凄い。またその朱毛を先生、と敬い使う伍子胥の姿勢がいい。伍家の家人は自分の意志で仕えてる感じが気持ち良い。王宮の獄に乗り込む伍子胥以下仲間(と言いたい)のそれぞれの思い。また楚国に潜む反楚勢力の人々も様々な思惑があり、これからどうなっていくのか先が気になります。が、登場人物が多く、さらに過去が複雑で覚えられず、ついに相関図を書き始めました。(笑)2018/08/14
Tomoichi
19
伍子胥の父と兄が費無極の策謀により捕らえられる。伍子胥そして楚の運命が大きく動き出す。3巻に続く!2019/08/24
崩紫サロメ
18
王と太子の対立、連尹家の運命が暗転する巻。春秋戦国ものの中では一番長い作品であるが、伍子胥という人物、とりわけ楚王への常軌を逸した(という人もある)憎悪というものを描くにあたり、この長さは必要であったと思う。特に敬愛する兄、これから宿敵となっていく親友・申包胥との別れの場面を、この後の場面を読んでいく中で何度も思い出すのだろう、と思った。太子にはイラッとするね!2022/01/23