内容説明
今年の秋で、三十三年目を迎える。知らん振りをしてやり過ごすようにはしているが、夏の終りの雨垂れを病院の窓から見ていると記憶は容赦なく背中を叩く。――あの笑顔は、すべて私のためだったのだ。彼女は自分が生きている間は、このダメな男を哀しませまいと決心していたに違いない。人間は誰かをしあわせにするために懸命に生きるのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
165
伊集院 静は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。大人の流儀シリーズも読み続けて、第八弾まで来ました。本作は、冒頭の前文『誰かを幸せにするために』につきます。今後も、本シリーズを読み続けて行きます。2018/12/15
おしゃべりメガネ
117
シリーズ第8弾となり、昨年書かれたトコまでやっと追いつき?ました。最初は'大人の流儀'というなんともシブいタイトルで始まったこのシリーズも3作目からはサブタイトルがメインになり、毎回う〜んと唸らせてくれるステキなタイトルばかりです。今作は『誰かを幸せにするために』とありますが、これまたなかなか難しいテーマですよね。全作において、作者さんのダンディズムは基本、ブレませんがやはり年齢とともにだいぶ丸く?なってきたかなと。譲れない信念とさらりとやり過ごす懐の深さや余裕は、しっかりと持ち合わせていたいですね。2019/11/30
ポタオ
28
タイトルに惹かれて買いました。感想としては、人生において大事なことは他者との関わりなんだなと思いました。伊集院先生は過去の出会いを懐かしむように、もう亡くなられた人たちの話が多かったです。別れの前には必ず出会いがあって、永遠の別れから何年たっても鮮明におぼえているぐらいのいい出会いがたくさんあった方なんだなと思いました。いい本でした。2019/03/29
Rie
27
ただ存在するだけで誰かを幸せにすることもできる。誰かは1人かもしれないし複数かもしれない。という事なんだと思った。けどね、伊集院さん、ぎゅうぎゅうの電車内で電話は使ってはいけないよ。向けられた視線は内容ではなく行為に対するものだと。2019/04/27
ハチ
27
シリーズで初ではないかな、ギャンブル、競艇、麻雀て文字がないのはwww今回はかなりお行儀のよい伊集院さんてかんじでこれはこれで良かった。大人とは何か、男とはどうあるべきかをブレずに投げ込んでくる。2018/12/02