内容説明
孤独の中で強さを渇望する芥菊千代。組から追われる身となった竹智完。美しき獣のごとき志村礼二。愚直に武道に邁進する加倉文平。優しき巨躯の室戸武志。世界を放浪する陳家太極拳の達人・羽柴彦六が5人の若者と出会った時、運命の歯車は俄に動き出す――。血潮たぎる迫力と息をもつかせぬテンポで繰り広げられる夢枕獏のノンストップエンタテインメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
52
『キマイラ』と並ぶ夢枕獏の代名詞的作品『餓狼伝』とはまた別路線の格闘小説、『東天の獅子』と合わせて三大格闘小説と括ってもよいかも。ノベルズ版からの文庫化が始まったのでこれを機に追っかけてみる。『よくできました』。“強さ”を渇望する5人の若者が太極拳の達人・羽柴彦六と出会うことで物語が動き出す。今作は5人の登場に終始しているのでまるまる一巻かけたプロローグといった趣。エロス&バイオレンスがっつりでむしろ清々しいぐらいですね。2018/06/10
hnzwd
17
様々な事情を持つ男たちが羽柴彦六という流浪の男と関わり、運命が絡み合うように闘いに引き込まれていくという、、。シリーズ第一巻から登場人物バンバン出てきますが、キャラは立ってるしエピソードは濃いし、これからどうなっていくのやら。2023/10/14
matsu04
16
凄まじいまでの暴力シーン、官能的で卑猥な性描写…、圧倒的な迫力で読む側を一気に惹きつけて離さない。さすがである。今野敏の空手モノとはひと味もふた味も違う(比較すべきかどうかは微妙であるが)。次巻に続く。2019/08/22
たか厨
14
実にン十年ぶりの再読。本書と本シリーズの2巻目に当たる玄武編まで読んだ後、長らく続きが出なかったので、未完のまま本シリーズは終了したとずっと思い込んでいた。最近、同じ筆者の山岳小説を読了したのを機に、本作のことを調べて2014年に完結したと知り、「ならば読んでみるか」と、そういうことになった。30年以上前の格闘小説だが、古さは感じなかった。本書の狂言回し的存在の羽柴彦六が、各章ごとに出会う5人の男たちが、未だ自分の生き方を定められず、懊悩する様が現在にも通じるものがあるからだろう。続きが楽しみでならない 2018/06/11
柳 真佐域
11
無骨。(というより武骨?)血と肉と骨で出来ている文はまさに男丸出しな汗の臭いがした。でもこんなスカスカな軽い本久し振りに読んだな。もっとみっちり詰まってるなら読みごたえもあったけど、ほぼ100%読み解ける描写と漢字に高校生の頃に読んだときの印象と大分違ってしまった。ぎゅっと圧縮して編と編を繋いだら4編くらいまとまるんじゃないのか?太極拳の達人の羽柴彦六の不遇な青少年を拳法家にする育成計画。エロあり喧嘩あり殺し合いありのバイオレンスエンターテイメント。僅か2日で読めてしまったので、本棚には残せないなぁ。彦六2020/11/20