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内容説明
明治元年に生まれ、日清・日露戦争に従軍し、満洲やシベリアで諜報活動に従事した陸軍将校の手記四部作。第一部は、故郷熊本で西南戦争に遭遇した後、陸軍士官学校に入り、日清戦争に従軍するまでを綴る。未公開だった手記『思い出の記(抄)』及び小説『木苺の花』を併せて収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tyfk
4
神風連と西南戦争のあたりを確認のつもりで読み始めたら、横井小楠も住んでたという本山村の土地柄の話が詳しくて、いろいろあらまあ。神風連の背景とかはさほど詳しくない。夜景スポット花岡山はむかし祇園山と呼ばれてた(北岡神社は京都の祇園社から)この山を押さえれば城を大砲で直撃できるって話とかふむふむ。城の炎が広がり城下は焼け野原に(鎮台が火を放った説)。乃木の話はなかった。戦火からの避難先(谷尾崎、柿原、堀川)場所を地図で確認。ドラマみたいで面白いんだけど、だいぶ話を盛ってるかな。面白すぎて残りも一気に読了。2023/09/11
Shinya Ishikawa
3
◆明治元年に生を受け、激動の生涯を送った一個人の「手記」。「手記」と言いますが、明治という時代とそこに生きる人々を鮮やかに描きだしつつ個の目線から「急造近代国家日本」を写し取った貴重な記録でもあります。大変読み応えがあり、おもしろい。◆昔の人々の誠実さ、真剣さに深く感じ入りました。150年前に比べて日本は物質的に豊かになったけれど、人の心は貧しくなったかもと感じずにはいられませんでした。◆本巻は著者の生誕から30歳頃まで、歴史に照らすと明治元年から日清戦争終結後辺りまで。◆手記は全4巻、次が楽しみです。2018/02/27
dexter4620
2
明治期の日本を知るために購入。編者の文才も素晴らしく、とても明治期〜昭和初期に書かれた本とは思えない手記。幼少期の地方での暮らしや兄のビジネス上の苦労を経て、著者は軍人として隊を率いて日清戦争へ出征する。日本の歴史を知ることのできる名著であり続編も非常に楽しみだ。2023/10/31
TTK
1
「時代が動きはじめると、初めの頃は皆同じ思いでいるものだが、いつかは二つに分れ、三つに分れて党を組んで争う。どちらに組する方が損か特かを胸算用する者さえ出てくるかと思えば、ただ徒らに感情に走って軽蔑し合う。古いものを嘲っていれば先覚者になったつもりで得々とする者もあり、新しいものといえば頭から軽佻浮薄として軽蔑する者も出て来る。こうしてお互いに対立したり軽蔑したりしているうちに、本当の時代遅れの頑固者と新しがりやの軽薄者が生れて来るものだ。これは人間というものの持って生まれた弱点であろうなあ……」p.342023/07/30
akios
1
抜群に面白い。戦うものは互いにそれぞれなにかしら譲れぬものをもっているけれど、心底互いを憎み合っているわけではない、ただ時がそのように至ってしまうことがあるのだという諦観も感じる。そのなかで、自分ができることは何かを見据えていく、成長の過程。この先、ますます苛烈な戦争に突入していくのだが、どんな姿が描かれるんだろう。2023/12/07




