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内容説明
世田谷で三等郵便局長を務めていた石光元陸軍少佐は「大地の夢」さめがたく、再び大陸に赴き満蒙貿易公司を設立する。そしてロシア革命が勃発、密命を受けた石光はアムールへと赴く。一方日本軍は革命に干渉し、シベリアに出兵する。時代を裏側からささえていた一軍人の手記、完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tyfk
7
「私の指導が間違っていたために、この日本人墓地の凍土の下には、九名の犠牲者が冷たく横たわって再び醒めることがない。彼等は善良な市民であった。写真師、洗濯業、理髪業、ペンキ屋、貸席などのささやかな商人として、第二の故郷シベリアに生涯を過すつもりの人々であった。ロシア人の良き友として彼等は愛された。2023/11/18
akios
1
読み終わってしまった。一気に読んだ。現実とはなんと報われないものなんだ。なんてことを、真清は思わなかったのかもしれないけれど。立身出世の成功譚よりよほど身に染みた2023/12/14
Shinya Ishikawa
1
日露役を終えて内地に戻り一市井の人となった作者が、ロシア革命を契機に再度陸軍の命を帯びて大陸に渡ることとなる4巻目。3巻までに味わった辛酸も凄まじいものでしたが、本巻では作者を含めたこの時代の人々が、なすすべもなく時勢の激流に巻き込まれていく姿がひときわ印象的でした。それにしても令息の編集手腕もあるでしょうが、一軍人であったという作者石光真清氏の文才には終始瞠目しきりで、泰平の世にあれば一流の教養人として名を成したのではないかと敬服する次第です。「手記」を超えた、全巻を通して学ぶべき歴史のある大著です。2018/03/12
TTK
0
目的が達せられないことを承知で、犠牲を払うことが忠誠であろうか。失敗すれば、最高方針が誤っていたので自分の責任ではない、自分は与えられた責任を立派に果たした……そう考えてすむことだろうか、そんな形式主義が官界にも軍界にも滲透している。p.3232023/08/23