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内容説明
世田谷で三等郵便局長を務めていた石光元陸軍少佐は「大地の夢」さめがたく、再び大陸に赴き満蒙貿易公司を設立する。そしてロシア革命が勃発、密命を受けた石光はアムールへと赴く。一方日本軍は革命に干渉し、シベリアに出兵する。時代を裏側からささえていた一軍人の手記、完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
24
チェコが独立目指してシベリアを横断するくだりは知らなかった。その騒ぎでシベリアの赤軍は一時衰退し、日本軍が介入する糸口を与えたが、ロシアは農奴や労働者が大半を占めたため、外国勢力を背景にする資本家、インテリ層を嫌い、また赤軍が盛り返して日本軍はシベリアに孤立することになる。また、日露戦争からわずか15年あまりに兵の質が低下し、掠奪が横行していた。元武士や薩長土肥が前線にいなくなり、軍隊が官僚化したのではないかと感じた。2025/10/23
tyfk
7
「私の指導が間違っていたために、この日本人墓地の凍土の下には、九名の犠牲者が冷たく横たわって再び醒めることがない。彼等は善良な市民であった。写真師、洗濯業、理髪業、ペンキ屋、貸席などのささやかな商人として、第二の故郷シベリアに生涯を過すつもりの人々であった。ロシア人の良き友として彼等は愛された。2023/11/18
akios
3
読み終わってしまった。一気に読んだ。現実とはなんと報われないものなんだ。なんてことを、真清は思わなかったのかもしれないけれど。立身出世の成功譚よりよほど身に染みた2023/12/14
dexter4620
2
日露戦争あたりからの記録として、読んで良かったと心から思えるシリーズ。著者の故郷熊本に記念館があるようなので、いつか訪れてみたい。やはり中国語もロシア語も使いこなしたのだろうか、著者の行動力、そして破天荒さに驚嘆した。2025/05/16
Shinya Ishikawa
2
日露役を終えて内地に戻り一市井の人となった作者が、ロシア革命を契機に再度陸軍の命を帯びて大陸に渡ることとなる4巻目。3巻までに味わった辛酸も凄まじいものでしたが、本巻では作者を含めたこの時代の人々が、なすすべもなく時勢の激流に巻き込まれていく姿がひときわ印象的でした。それにしても令息の編集手腕もあるでしょうが、一軍人であったという作者石光真清氏の文才には終始瞠目しきりで、泰平の世にあれば一流の教養人として名を成したのではないかと敬服する次第です。「手記」を超えた、全巻を通して学ぶべき歴史のある大著です。2018/03/12
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