内容説明
現代では権謀術数の代名詞にされる男の実像とは。イタリア・ルネサンス終焉の時代と同時代の人々をつぶさに描き、等身大のマキアヴェッリ像を浮かび上がらせた、塩野ルネサンス文学の最高峰。 ※当電子版は単行本(新潮文庫第1巻~第3巻)と同じ内容です。地図・年表なども含みます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
90
時折読み返したくなる名著です。マキアヴェッリというと『君主論』の作者であり、冷徹さをイメージさせますが、見事にその見方を覆されます。ルネサンス終焉期のフィレンツェを背景に等身大のマキアヴェッリが描かれていました。「わが友」というだけあり、愛嬌と人間味が感じられます。「マキアヴェリズム」が忌まわしさとして一人歩きしていますが、実は現代の政治や外交の原点になっているのですね。マキアヴェッツリはその後のイタリアにおける様々な可能性を打ち出していく。その手腕を見ていると歴史の面白さを感じます。2016/04/29
k5
61
いくらなんでもマキャベリ好きすぎでしょう、塩野さん、というのが正直な感想。脳のかびを取る、という手紙は確かに文学的で鮮烈だけれども、このボリュームで描くネタとしては少々、地味な感があります。こうしてみると、マキャベリの現役時代ってメディチとメディチの端境期なのだとよく分かりました。しのご言う前にマキャベリ読みます。すみません。2021/07/05
カザリ
48
塩野のマキャベリ、読み終わりましたw名前だけ知っている人のオンパレでしたが、この本を読んでメディチ家やチェーザレ・ボルジアのこと、さらに知りたくなりました。。というか、君主論を体現している人がチェーザレだった以上、この人の本も読む流れに。。( ゚Д゚)2015/09/22
masabi
27
マキャヴェリの生涯をメディチ家の隆盛からフィレンツェの滅亡まで併せて描く。この本を読むとマキャヴェリのイメージが変わる。マキャヴェリズムの通り冷酷な人物と思っていたが、随分と愉快な人物だったようだ。歴史に必然というものは少なく、多くは偶然でそのなかには外交や軍事の面で機を逸したことが原因でもある。次は『政略論』やフィレンツェの対極をなしたヴェネチアについて書かれたものを読みたい。史実と物語の両方を、である。2016/08/11
ぐっちー
27
再読。塩野さんの著作の中では特に好きな作品。『君主論』のマキアヴェッリといえば、権謀術数推しの冷徹漢なイメージですが、実は我が友と言いたくなる愛嬌ある人間マキアヴェッリの物語です。豪華王と言われたロレンツォ亡き後、落日のフィレンツェを何とか守ろうとしたノンキャリ官僚の哀愁。仕事に打ち込みすぎで同僚から好かれるけど家族からは愛想を尽かされ、挙句リストラされるおじさん。2016/01/12