内容説明
“砂の海を渡る船”を降りたキーリと<不死人>ハーヴェイそしてラジオの兵長は、炭鉱の街に住むことに……。キーリは初めてのアルバイト生活を楽しんでいたが、ハーヴェイはほとんどの時間をアパートの部屋で過ごしていた。 ――ある朝、アルバイトに出かけるキーリを狙うかのように、上の階からフォークが落ちてきた。なんとか防いだハーヴェイは、フォークを落とした張本人の部屋に向かう。しかし、そこは空き部屋になっていて――!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スズ
39
断層の岩壁の炭鉱の町の料理店でバイトに励むキーリだが、ハーヴェイは家を空けがちで寂しさを感じる。そんな中、ベアトリクスという女性からハーヴェイから離れるよう告げられて…。いや~、凄く良かったです。キーリへの向き合い方が分からず迷走するハーヴェイ、大切な彼の帰りを寝ずにアパートで待ち続けるキーリ、キーリを寂しがらせるハーヴェイを本気で𠮟りつける兵長の3人が本当の家族のように温かく、料理店のバズ&スーズィ夫妻に可愛がられるキーリに本当に良かったねと言いたくなる。別れ際のバズの「元気で」には涙腺崩壊寸前でした2020/12/26
まりも
20
キーリがなんか男前で頼もしく感じた1冊。前回と違い新キャラがいい味を出しているのが良いですね。ただ今回は読んでいてしんどい場面が多かった割にはこれといった盛り上がりもなかったのが残念。世界観、雰囲気は好きなんだけどなんか乗り切れなかった。次巻からは新展開なんだろうけど買うか迷うな。2014/11/18
みやち🐹
10
再読。表紙からしてもキーリの成長が感じられる一冊。彼女が働き始めた〈バズ&スーズィーズ・カフェ〉は夫婦はもちろんお客さんも気さくで素敵。現実にあったら行ってみたくなるような暖かなお店です。旅路から離れて始まった定住生活。そんな中でもやっぱり不穏な出来事からは逃げられないんですよね。何度読んでも、徐々にボロボロになっていくハーヴェイの様子が心配になってしまいます。ここから事が大きく動いていくわけですが今回は序章です。彼らの旅路に幸多からんことを。2018/10/23
まいまい
8
再読。たぶん、付き合ってない男女が同じ屋根の下で暮らすシチュエーションが好きになったのは、この本のせい。ハーヴェイ、昔読んだときより、柔らかい青年のイメージに感じる。2020/05/17
らじこ
7
すれ違いが多くなってきた二人のやりとりがなんだかリアル。よくある恋人同士の気持ちのズレのようで、共感できる巻。ハーヴェイの動きに不安なキーリと、キーリとの将来を考えては、失いたくないからこそ迷うハーヴェイ。互いの間にある壁をどうしたらいいかわからずにいる彼らの心境が伝わってくるようで、なんだか妙な青春っぽさを感じました。キーリといいハーヴェイといい、壁井さんの描くキャラクターの動きや心理描写にはリアリティがありますね。好きな巻です。
-
- 電子書籍
- 福衛門レース ―幸村アルト作品集― 花…
-
- 電子書籍
- 凧と円柱 - 句集