内容説明
原書は昭和42(1967)年刊。昭和15年12月、オシラサマ調査のため廻った最初の旅から、昭和41年8月の旅まで、下北半島をおとずれた9度の旅の記録。昭和38年・39年には九学会連合の綜合学術調査にも参加、ときに季節を変えて下北各域をくまなくあるき、本州最北の地を生活の場にして暮らす人びとの姿と、海を通じた南北各地との交流の歴史を綴る。きびしい自然条件の中で山野海浜を拓いて共に生きてきた下北人の努力の精神誌でもある。「青森県人以外の人間が下北半島をもっとも正確に記録した本」とも言われた書。写真265枚。
目次
1 下北の旅
2 むつ市
3 恐山
4 東通村
5 脇野沢から野平へ
6 北通・西通
あとがき
解説 原子力と薪のある風景(結城登美雄)
付録 日本の旅3
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
30
50年前の下北。このシリーズならではの「面の旅」を堪能する。9回の旅行記録と下北の鎌の部分を5つに分けての地誌で構成。過去帳を辿り森に分け入り人に会って記される、交流の豊かさ、開拓の営為、将来への思い。自然に、イタコが新しい伝統なのと同様に、僻地観も新しい認識にすぎないことを思い知らされてゆく。自分も、巻末の結城の紀行でルポされる原子力施設の立地を「仕方ないこと」と思っていたことを突きつけられる。この巻、刊行は2011年なのか。◇宮本の文章は西日本が多いけど、戦中期以来東日本への足跡は決して少なくはない。2016/03/12
HANA
8
尋ねた村々やそこで暮らす人々に注がれる暖かい眼差しは、この巻が突出しているように思える。同時に時代の変遷とともに衰退していくことの危機感もこの巻が一番。著者は九度も同地を訪ねたそうだが、その情熱にまず驚かされる。僕も一度行ったことがあるので恐山の硫黄の臭いや野辺地の駅で空が暗くなるほど鳥が飛んでいたことなどを懐かしく思い出しながら読んだ。それにしてもあの地震で下北半島は大丈夫だったのだろうか。2011/10/21
K
1
(1967,291.09)田名部の人たち、会津賊軍の斗南藩受入れのくだり。「目に見えて2つだけ大きな影響があらわれた。・・・田名部あたりの人は善良なことはこの上なかったが、約束ごとなどいたってルーズであった。それが会津藩士の折目正しい義理がたさをまなぶようになって来た。今一つは学問である。会津からきた人はみな文字を知っていた」宮本先生の見方はやさしいよね。2023/05/12
takao
1
ふむ2018/11/19
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