岩波文庫<br> ガルガンチュワ物語 〈ラブレー第1之書〉

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岩波文庫
ガルガンチュワ物語 〈ラブレー第1之書〉

  • ISBN:9784003250211

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内容説明

フランス・ルネサンスを代表する大作家ラブレーの長篇「ガルガンチュワとパンタグリュエル物語」の第一冊.桁はずれに巨大な王ガルガンチュワの奔放自在な生涯と武勲を豪快に物語りながら,中世末期社会の権威と秩序を陽気に笑いとばす規模雄大な作品.(全五冊.第二之書以下は「パンタグリュエル物語」.)

目次

目  次
   読 者 に
   作者の序詞

 第一章 ガルガンチュワの系譜と、その由緒ある家柄について

 第二章 一基の古い墳墓中に見出された解毒阿呆陀羅経

 第三章 ガルガンチュワが十一カ月の間母の胎内に宿っていたこと

 第四章 ガルガンチュワを胎に宿したガルガメルが臓物料理を鱈腹喰ったこと

 第五章 酔っぱらいが管を捲く

 第六章 ガルガンチュワが奇怪至極な誕生をしたこと

 第七章 ガルガンチュワに名前がつけられたこと、また、彼が葡萄酒を飲んだこと

 第八章 ガルガンチュワに、いかなる衣裳を着せたか

 第九章 ガルガンチュワの当色紋所

 第一〇章 白い色と青い色とは何を意味するか

 第一一章 ガルガンチュワの幼年時代

 第一二章 ガルガンチュワの玩具の馬

 第一三章 尻を拭く妙法を考え出したガルガンチュワの優れた頭の働きをグラングゥジエが認めたこと

 第一四章 ガルガンチュワが一人の詭弁学者からラテン文学を教えられたこと

 第一五章 ガルガンチュワが他の教育家たちに托されたこと

 第一六章 ガルガンチュワがパリへ送られたこと、ならびに彼を乗せた大牝馬の話、ならびにこの牝馬がボースの牛蠅を退治したこと

 第一七章 ガルガンチュワがパリ市民に披露目の挨拶をしたこと、ならびにノートルダム大聖堂の大釣鐘を取り去ったこと

 第一八章 大釣鐘をガルガンチュワから取り戻すためにジャノトゥス・ド・ブラグマルドが派遣されたこと

 第一九章 釣鐘を取り戻すためにジャノトゥス・ド・ブラグマルド先生がガルガンチュワに向ってした演説

 第二〇章 詭弁学者がその羅紗を持ち去ったこと、ならびに他の先生方を相手に訴訟を起したこと

 第二一章 詭弁学者の先生たちの監督下におけるガルガンチュワの勉強振り

 第二二章 ガルガンチュワの遊戯

 第二三章 ガルガンチュワがポノクラートによって一日のうち一時間も無駄にならぬような規律で教育されたこと

 第二四章 雨天の折にガルガンチュワは時間をいかに用いたか

 第二五章 レルネの小麦煎餅売りたちとガルガンチュワの国の住民たちとの間に大論争が起り、それが因で大戦争になったこと

 第二六章 レルネの住民たちがその王ピクロコルの指揮によってガルガンチュワの羊飼たちの不意を襲ったこと

 第二七章 スイイーの一修道士が敵軍の略奪から修道院の葡萄園を救ったこと

 第二八章 ピクロコル王がラ・ローシュ・クレルモーを攻略したこと、ならびに開戦するに当りグラングゥジエは心残りを覚えて、なかなか腰をあげなかったこと

 第二九章 グラングゥジエがガルガンチュワ宛にしたためた書簡の文面

 第三〇章 ウルリック・ガレがピクロコルのもとへ派遣されたこと

 第三一章 ガレがピクロコルに向ってした演説

 第三二章 グラングゥジエが平和を購うために小麦煎餅を返させたこと

 第三三章 何人かの顧問官たちの早計浅慮がピクロコル王を最悪の危難に陥れたこと

 第三四章 ガルガンチュワが故国を救うためにパリの町を去ったこと、ならびにジムナストが敵軍に遭遇したこと

 第三五章 ジムナストが手際も鮮かに酒杯隊長及び他のピクロコル軍の者どもを殺したこと

 第三六章 ガルガンチュワがヴェード浅瀬の城を壊したこと、ならびに一同が浅瀬を渡ったこと

 第三七章 ガルガンチュワが頭を梳って頭髪のなかから砲弾をばらばら落したこと

 第三八章 ガルガンチュワがサラダと一緒に六人の巡礼を食べてしまったこと

 第三九章 ジャン修道士がガルガンチュワに歓待されたこと、ならびに晩飯を食べながら談論風発に及んだこと

 第四〇章 何が故に修道士は世間から疎まれるのか、また何が故にその或る者どもは他人よりも大きな鼻を持っているのか

 第四一章 修道士がガルガンチュワを眠らせてしまったこと、ならびにその時祷日祷について

 第四二章 修道士が戦友たちを激励したこと、ならびに立木へ吊りさげられてしまったこと

 第四三章 ガルガンチュワがピクロコル軍の小部隊と遭遇したこと、ならびに修道士が一路邁進之介隊長を殺し、次いで自ら敵兵に捕えられたこと

 第四四章 修道士が見張りの敵兵を倒したこと、ならびにピクロコル軍の分遣隊が打ち負かされたこと

 第四五章 修道士が巡礼たちを連れ戻したこと、ならびにグラングゥジエが懇な言葉をかけてやったこと

 第四六章 グラングゥジエが捕虜の臆病山法螺之守を情深く取り扱ったこと

 第四七章 グラングゥジエがその諸軍団を召集させたこと、ならびに臆病山法螺之守が青葡萄苗之介を殺し、次いで自らもピクロコル王の命によって殺されたこと

 第四八章 ガルガンチュワがラ・ローシュ・クレルモー城中にピクロコルを襲い、右ピクロコルの軍勢を潰滅させたこと

 第四九章 逃走したピクロコルが不運に襲われたこと、ならびに戦後ガルガンチュワがしたこと

 第五〇章 敗残軍の兵士に向ってなされたガルガンチュワの告諭

 第五一章 戦終って勝利者たるガルガンチュワ軍の人々の論功行賞が行なわれたこと

 第五二章 ガルガンチュワが修道士ジャン・デ・ザントムールのためにテレームの僧院を建立させたこと

 第五三章 テレミートたちの僧院はどのように建てられ、いかなる財源を与えられたか

 第五四章 テレームの僧院の正門に記された銘文

 第五五章 テレミートたちの館はいかなるものであったか

 第五六章 テレームの僧院の男女の修道者たちはいかなる衣裳を身につけたか

 第五七章 テレミートたちの生活はどのように定められていたか

 第五八章 後世照らす謎歌
   解  説
   後  記
   訳者略註

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

51
中世の民間伝説『巨人ガルガンチュワ年代記』をもとにラブレーが創作した話は、荒唐無稽の法螺話の中に、痛烈な教会批判が満ち満ちている。ただ、この時代はそもそも女性が本を読むということを設定されていないということなのか、下の話があまりにも多く、辟易した。だが、最後にガルガンチュアが創設したテレームの僧院の入所条件を示した銘文は、全編の下ネタも吹き飛んでしまうほどの厳粛さにあふれていた。ただ、この条件にあてはまる者など誰もいないのではないかともいえ、それもまた、痛烈な批判ということなのだろう。2016/12/10

壱萬弐仟縁

24
第10章白い色と青い色とは何を意味するか(70頁~)。白は歓喜、快楽、快活。青の意味は不備でわからないが、黒は悲哀だと(71頁)。第15章ガルガンチュワが他の教育家たちに託されたこと(97頁~)。家庭教師どもから書物を教えられるよりも、何も習わぬほうがましだということが判った。それは困るね。ガルガンチュワは、1日のうち1時間も無駄にしないことになったし、文芸ならびに正しい学問の探究に費やされることとなった(128頁)。2015/01/02

mstr_kk

11
随分長い間放置していましたが、初の通読です。巨人の王子ガルガンチュワが、生まれ、変な教育を受け、パリで修業し直し、自国に戻って戦争に勝ち、見事な戦後処理をし、理想の修道院を建てる、というお話。荒唐無稽なホラ話と言語遊戯と下品さが炸裂している前半には大興奮でした。まさにベケットのルーツ。そしてこの訳文は大江健三郎のルーツ。しかし、パリでの勉強によりものすごい学識を得て以降は、ガルガンチュワがお行儀良くなってしまい、武闘派のジャン修道士がハチャメチャ部分を引き継ぐものの、ちょっと物足りなくなりました。2014/10/18

roughfractus02

10
大きなものを見上げる時、大人は子供の姿勢になる。それが堂々として不動なら神になるが、子供のように動き回れば怪物になる。医者である作者は後者を穴の空いたチューブに見立て、下世話話をする口で喰らい、排便排尿のたびに尻を向けて人々を大騒ぎさせる。すると、怪物が人間に見えるから不思議だ。そうして、聖史劇的物語に古今の教養と言葉遊びがさし挟まれ、奇妙な色彩学、200超の遊戯、巨大僧院を次々放り込まれる本書が大きな穴に見えてくる読者は、母の左耳から産まれた主人公に父王が叫んだ言葉を口にするはずだ。ク・グラン・チュア!2019/09/28

8
この巻は概ねガルガンチュアの誕生と教育、ピクロコル戦争、テレームの僧院の三部。笑って読めと言い、吟味解読しろと言うが、まあ主眼は前者だろう。抑々ラブレーの意図はオヴィディウスやヴェルギリウスを預言者に祭り上げる中世の注解者達を彼らと同じ手段で愚弄することにあるから、寓意的に表れる教育論や拡大政策批判、国王論、理想郷などの詳細な理解を試みるならば、それこそラブレーに嘲笑されそうだ。むしろ大衆的に笑いつつ素直に本文を楽しむのが適切。とはいえ本筋は荒唐無稽で特別面白くもない。修道士ジャンの戯画的な大活躍が好き。2022/10/13

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