岩波文庫<br> パンタグリュエル物語 〈ラブレー第5之書〉

個数:1
紙書籍版価格
¥1,320
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

岩波文庫
パンタグリュエル物語 〈ラブレー第5之書〉

  • ISBN:9784003250259

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

ラブレーの壮大な世界も遂に本書で終幕を迎える.前書に引き続く島々めぐりの漂流譚で主従一行は枢機鳥,司教鳥,教皇鳥などの住む鐘鳴島,樹木に鎌や刀剣が実のようになっている鉄器具島,淫痴奇島などを次々と遍歴してゆく.苦心の訳文に周到綿密な訳注・解説が付された本書は,決定訳であり比類のない研究書でもある.

目次

目  次
   序 詞

 第一章 パンタグリュエルが鐘鳴島に到着したこと、ならびに我々が聞いた物音について

 第二章 鐘鳴島は、嘗て、鳥になった弔歌族に棲まわれていたこと

 第三章 鐘鳴島には、一羽の教皇鳥しかいないこと

 第四章 鐘鳴島の鳥は、悉く渡り鳥であること

 第五章 鐘鳴島では、大食大勲士の鳥どもは唖であること

 第六章 鐘鳴島の鳥たちは、どのようにして食物を与えられているか

 第七章 パニュルジュが、番蔵師に、軍馬と驢馬との譬話をすること

 第八章 教皇鳥を見せてもらうのがなかなか困難であったこと

 第九章 鉄器具島へ上陸したこと

 第一〇章 パンタグリュエルが淫痴奇島に到着したこと

 第一一章 毛皮猫族の大公掻攫猫が住んでいる獄門島へ渡ったこと

 第一二章 掻攫猫から謎歌を一つ出されたこと

 第一三章 パニュルジュが掻攫猫の謎歌を説明すること

 第一四章 毛皮猫族どもは袖の下鼻薬で生きていること

 第一五章 修道士ジャン〔・デ・ザントムール〕が毛皮猫族どもを襲撃する決意を固めること

 第一六章 パンタグリュエルが、長い指と鉤のような手をした蒙昧族の島に到着したこと、ならびにそこで出会った様々の恐ろしい事件と怪物のこと

 第一七章 我々一行が革嚢島を通ったこと、ならびにパニュルジュが、そこで危く殺されそうになったこと

 第一八章 我々の船が坐礁してしまい、第五元素王国の人民である何人かの旅行者に救われたこと

 第一九章 円現と呼ばれる第五元素の王国に到着したこと

 第二〇章 第五元素女王が、歌曲によって病人たちを快癒させたこと

 第二一章 食後、女王がいかにして時を過すかということ

 第二二章 第五元素女王の役人たちが、色々様々な仕事をすること、ならびに女王が、我々を抽   出役として引き留めること

 第二三章 女王の晩餐はいかなるものか、ならびにいかなる食べ方をするかということ

 第二四章 第五元素女王の御前で、勝抜き試合の形で、楽しい舞踏会が行われたこと

 第二五章 舞踏会の三十二人が合戦をすること

 第二六章 大路小路が歩いている道路島へ上陸したこと

 第二七章 木靴族の島に到着したこと、ならびにぶつぶつ宗徒について

 第二八章 パニュルジュが、一人のぶつぶつ修道士に物を訊ねて、ぶつぶつという返事しかしてもらえなかったこと

 第二九章 精進潔斎の制度が、エピステモンの気に入らぬこと

 第三〇章 我々が繻子蓬莱国を訪れたこと

 第三一章 繻子蓬莱国で、証言学寮を開いている風 聞先生に出会ったこと

 第三二章 いかにして提 灯国が、我々によって発見されたか

 第三三章 我々が灯明人たちの港へ上陸し、提 灯国へはいったこと

 第三四章 〔上臈の提灯たちの晩餐に、いかなるものが供されたか

 第三五章 一同が、徳利明神の神託の島へ到着したこと

 第三六章 一同が徳利明神の寺院へはいるために地下へくだったこと、ならびにシノンは世界第一番の町であること

 第三七章 一同が聖四数階段をくだること、ならびにパニュルジュが恐怖したこと

 第三八章 寺院の扉が、ひとりでに、見事に開いたこと

 第三九章 寺院の床が、歎賞すべき截嵌寓意細工によって作られていたこと

 第四〇章 寺院の截嵌寓意細工に、バッコス神がインド人たちを討ち平げた合戦の有様が表されていること

 第四一章 截嵌寓意細工に、善良なバッコス神がインド人に仕掛けた突撃・攻撃の有様が描かれていること

 第四二章 寺院が、讃歎すべき洋灯で照明されていたこと

 第四三章 女祭司漠福から、一同が寺院内の玄妙不可思議な泉を見せられたこと

 第四四章 泉の水は、これを飲む人々の念じ方に従って、葡萄酒の味になったこと

 第四五章 徳利明神の神託を授かるために、漠福がパニュルジュに装束を付けさせたこと

 第四六章 女祭司漠福が、パニュルジュを、件の徳利の前へ伺候させたこと

 第四七章 漠福が、徳利明神の御言葉を解き明かすこと

 第四八章 パニュルジュもその他の面々も、詩歌の狂乱に捕われて押韻を弄んだこと

 第四九章 女祭司漠福に暇を乞い、徳利明神の神託を後にしたこと

 記銘詩
   解  説
   一 『第五之書』の成立と位置とについて
   二 『第五之書』の特徴について
   三 『第五之書』の信憑性について
   四 原典について
   五 翻訳及び略註について
   六 挿絵について
   後  記
   訳者略註

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

46
徳利明神の御神託を求めて航海が続けられ、奇妙な島々が登場することは4巻と同じだが、これまでのラブレー独特の韜晦による毒々しさや馬鹿馬鹿しさがあまり見られなくなっている。また、これまで要所要所を締めていたパンタグリュエルの存在感がかなり薄くなっていて急に「私」が前面に出て来ているが、あまりパンタグリュエルを尊敬しているようには見えない「私」とは、いったい誰なのかよく分からず、もやもやした感じが残る。ラブレーの死後発表されたということもあり、この巻はラブレー作ではないと言われているそうだ。2016/12/14

てれまこし

14
ラブレーの没後に公刊され偽作の疑いがある。翻訳でもちがいは明らかである。諷刺がより直截になって韜晦さが減じているし、下ネタは健在だが糞尿は少なくなってる。それでもこれがパンタグリュエルの続編として読まれたことは歴史的事実であるし、ラブレーの遺した草稿が何らかの形で組み込まれてると思われる。徳利明神の女祭司が語る大地の信仰などは、ラブレーが明るみに出した民間信仰の理論的要約とでも言えそうで無視するのはむずかしい。よほどラブレーの思想を理解していた人が編纂したのか、あるいは当時は広く共有されていた思想なのか。2022/10/18

フリウリ

10
最終巻。ぼんやりすると忘れてしまいますが、パンタグリュエル御一行が航海に出たのは、提燈国の徳利明神に、パニュルジュの結婚についての託宣を得るためでした。ようやく提燈国に到着し、地下深くにある徳利明神を訪れ、託宣を受けたところ、託宣は「呑め」と出た。そして御一行は、呑みかつ歌い、ガルガンチュアへのお土産を積み、帰京の途について、おしまいです。今回は、読み切ることを目的としたので、ほとんど注も読まず、スピード感を大切にしました。新訳も気になりつつ、遠からず、読むことがあると思います。72023/11/21

roughfractus02

9
枢機鳥,司教鳥,教皇鳥の住む鐘鳴島,鉄器具島,淫痴奇島等の海の冒険は続くが、パンタグリュエルを主人公とした物語は「我々」や「私」なる語り手の登場で後退する。ガストロノミーや糞尿譚、韜晦的な知の氾濫する記述が影を潜めると、読者はこの書が作者不明の小編「ガルガンチュア年代記」を引き継いだことを忘れ、この巻を作者の死後別の作者が引き継いだ偽書との疑いをかける。が、書物を一人の作者に括って商品化する近代の習慣を脇におけば、エラスムスとモアに触発された教会権威への批判は、作者の権威をも弱めつつ遂行中のように見える。2019/10/02

mstr_kk

7
パニュルジュの結婚について徳利明神の神託を受けるため、パンタグリュエルたちが奇妙な船旅を続ける話、第四の書の続編です。パンタグリュエルが主人公っぽくなくなることもあり、ラブレー作ではないと言われているようですが(訳者の註も、この作品に対してはやたら厳しい)、そこにはあまりこだわらず楽しんで読もうと心がけました。徳利明神の寺院にたどり着き、ちゃんと完結してくれたので良かったです。終盤の、そうとう読みづらい寺院の内部の描写などは、読者の頭をぼーっとさせる『神曲』のサイケデリアに通じるものがある気がしました。2014/10/31

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2039219
  • ご注意事項