岩波文庫<br> パンタグリュエル物語 〈ラブレー第3之書〉

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岩波文庫
パンタグリュエル物語 〈ラブレー第3之書〉

  • ISBN:9784003250235

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内容説明

「第三之書」発表までには十余年の歳月が経過し,ラブレーを取り巻く社会情勢は更に厳しくかつ複雑化した.本書では家臣パニュルジュの結婚是非について様々な意見が述べられるという筋立てでラブレー流の女性論議が開陳される.前二作の巨人物語風は影をひそめ,陰影に富んだ含蓄深い文章にラブレーの精神がこめられる.

目次

目  次
   ナヴァール公妃の御霊に
   王ヨリ賜レル允許状
   善良なパンタグリュエルの雄武言行録第三之書のための著者フランソワ・ラブレー師の序詞

 第一章 パンタグリュエルが無可有郷国人の植民団を乾 喉国へ移住させたこと

 第二章 パニュルジュが乾 喉国は肉雑炊領の城主に任ぜられ、青芽のうちに麦を食べたこと

 第三章 パニュルジュが金を借りたり物を借りたりする人々を讃美すること

 第四章 債権者及び債務者を讃えるパニュルジュの話の続き

 第五章 パンタグリュエルが金を借りたり物を借りたりする人々を嫌悪すること

 第六章 何故に新婚の人々は戦争に赴くことを免除されたか?

 第七章 パニュルジュが耳に蚤をつけたこと、ならびにそのすばらしい股袋をつけるのをよしにしたこと

 第八章 股当こそ武人にとっては装具の華であること

 第九章 パニュルジュが結婚すべきかどうかについてパンタグリュエルの意見を訊ねること

 第一〇章 パンタグリュエルが結婚相談はむずかしいものであることをパニュルジュに説き示すこと、ならびにホメロス占筮及びウェルギリウス占筮について

 第一一章 パンタグリュエルが骰子占筮は正しくない旨を諭すこと

 第一二章 パンタグリュエルがウェルギリウス占筮によってパニュルジュの結婚がどうなるかを知ろうとすること

 第一三章 パンタグリュエルがパニュルジュに夢占筮によってその結婚の幸不幸を予知するように勧めること

 第一四章 パニュルジュの見た夢と、当人の解釈

 第一五章 パニュルジュの言いわけと、塩漬牛肉に関する修道院伝承の秘法の説明

 第一六章 パンタグリュエルがパニュルジュに向いパンズゥーの巫女に相談してみよと勧めること

 第一七章 パニュルジュがパンズゥーの巫女に話しかけること

 第一八章 パンタグリュエルとパニュルジュとがパンズゥーの巫女の詩句を色々様々に解釈すること

 第一九章 パンタグリュエルが唖者の意見を賞讃すること

 第二〇章 山羊野鼻助が身振り手真似でパニュルジュに答えること

 第二一章 パニュルジュが大猫悟老と名乗るフランス老詩人の意見を求めること

 第二二章 パニュルジュが托鉢修道士のために弁ずること

 第二三章 再び大猫悟老のもとへ赴こうとパニュルジュが弁じ立てること

 第二四章 パニュルジュがエピステモンの意見を訊ねること

 第二五章 パニュルジュが鳥羽先生に相談すること

 第二六章 パニュルジュが修道士ジャン・デ・ザントムールに意見を求めること

 第二七章 修道士ジャンが欣び勇んでパニュルジュに勧めること

 第二八章 孤窮になる恐れについてジャン修道士がパニュルジュを励ますこと

 第二九章 パンタグリュエルがパニュルジュの当惑を見てとって、神学者と医師と法曹家と哲学者とを召し集めること

 第三〇章 神学者必法多出が結婚問題について、パニュルジュに意見を述べること

 第三一章 医師の論地比理須がパニュルジュに意見を述べること

 第三二章 論地比理須が孤窮職は自然に婚姻の采領地に属することを明言すること

 第三三章 医師の論地比理須が孤窮予防薬を教えること

 第三四章 女性は禁断されたものを常に欲しがること

 第三五章 哲学者藤 堂 巡が結婚の難問題を論ずること

 第三六章 ピュルロン派懐疑哲人藤 堂 巡の返答の続き

 第三七章 パンタグリュエルがパニュルジュに向って、どこかの瘋癲に意見を訊ねるように説得すること

 第三八章 パンタグリュエルとパニュルジュとによってトリブゥレ頌徳表が作られること

 第三九章 骰子占筮によって宣告を下していた判官家鴨嘴棒に関する裁判をパンタグリュエルが傍聴すること

 第四〇章 家鴨嘴棒が訴訟事件を審査するに当り、骰子の丁半によって裁決を下す数々の理由を述べること

 第四一章 家鴨嘴棒が訴訟調停者の物語を述べること

 第四二章 訴訟はいかにして生れ、いかにして成熟するかについて

 第四三章 骰子占筮による裁判について、パンタグリュエルが家鴨嘴棒を弁護すること

 第四四章 人間の判断が昏迷することに関し、パンタグリュエルが奇怪な物語をすること

 第四五章 パニュルジュがトリブゥレに意見を訊ねること

 第四六章 パンタグリュエルとパニュルジュとはトリブゥレの言葉に異った解釈を下すこと

 第四七章 パンタグリュエルとパニュルジュとは徳利明神の神託を授かりに赴こうと決心したこと

 第四八章 父親母親の認知同意なしに結婚するのは、子として道に外れている旨をガルガンチュワが諭すこと

 第四九章 パンタグリュエルが海路の旅にのぼる準備をしたこと、ならびにパンタグリュエリヨンと名づける草について

 第五〇章 この著名なパンタグリュエリヨン草は、いかに加工され、いかに活用されるべきか

 第五一章 なぜパンタグリュエリヨン草と呼ばれるのか、またそのすばらしい効能について

 第五二章 或る種のパンタグリュエリヨン草は、火で焼いても灰にならないこと
   解  説
   後  記
   訳者略註

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

てれまこし

11
第一之書から12年を経て上梓された本書は、前二巻とは大分趣きが違う。当時人文主義者の間で流行った女性論争に、パニュルジュの結婚問題を通じて参与したらしい。やはり猥雑で滑稽だが、より人文的教養が前面に出てくる。数百の形容詞をつけられた「ふぐり」が2,3頁にわたり列挙されてるのは壮観だが、そうやってラテン語を取り入れることでフランス語の語彙が豊かになっていったらしい。日本語もまた外来語の摂取を通じて近代語になっていったが、フランス語も16世紀に人文主義者たちによって同様の過程を経て初めて近代語になったらしい。2022/09/14

roughfractus02

8
自身を弄ぶように、本名をアナグラム化したアルコフリバス・ナジエ(Alcofribas Nasier)の名で前2作を世に出した作者だが、この10年で2作とも禁書目録に入れられ、国王の特認を得て本名を明かして本書を出版したという。物語内容もパンタグリュエルの荒唐無稽な話からパニュルジュの結婚の是非と彼の妻を他の男に寝取られない知恵を聞きに各地の知者を巡るという身近なテーマにトーンダウンしたかに見える。が、プラトン対話篇をパロディにかける本書には対話を終わらせる賢者はいない。いるのは対話を長引かせる愚者だけだ。2019/09/30

mstr_kk

5
『パンタグリュエル物語』の続編。第二の書ほどの興奮はありませんでした。コキュとなることを異常に恐れるパニュルジュの結婚相談の話を、大量のペダントリーと挿話で膨らませている感じです。個々のエピソードには面白いものもあります。結婚をめぐる物語なので、生殖の主題が入ってきているのが興味深かったです。また、「結婚してみないと結果は分からない」ということになるほかはないパニュルジュの話に、サイコロというモチーフが絡んでいるのかなと思いました。2014/10/28

takeakisky

2
こちらだって、神気朦朧として茫然自失、魔力妖気に呪縛される。第三之書に至って、やっと大人の読みものになってきた。下らなくも馬鹿馬鹿しい蘊奥を惜しげもなく繰り出す。果たして正しい知識かは全く分からない。おそらく使う場面も訪れないだろうけれど。面白いと退屈の、少し退屈寄りを果敢に突いてくる。興奮しやすいが、あくまでも理性的。何処か狙いすました阿呆らしさ。パニェルジュの愛らしさ。退屈なものを面白がるというのは、文化的な成熟の証左。飽きない。くだらない。という風に読んだ。222頁下段校閲ミス。ちゃんと全部読んだ。2023/12/24

イタロー

1
家臣のパニュルジュが活躍する。衒学的で荒唐無稽な書き方がどんどんパワーアップしてる。全集を編纂したフランスの人が「意味不明。名文すぎる」と述べたらしい……面白すぎる。2022/08/29

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