岩波文庫<br> パンタグリュエル物語 〈ラブレー第2之書〉

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岩波文庫
パンタグリュエル物語 〈ラブレー第2之書〉

  • ISBN:9784003250228

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内容説明

第一之書の主人公ガルガンチュワ王は,その齢五百二十四歳に達した時王子パンタグリュエルを儲けた.王子はまだ揺籃にありながら食事の度に四千六百頭の牝牛の乳を飲むばかりか牝牛そのものさえ引き裂いて食べてしまう始末…….この恐るべき王子の成長とともに物語は行方も知らぬ大河のごとく果てしもなく展開してゆく.

目次

目  次
   本書の作者に贈られたユーグ・サレル先生の十行詩
   作者の序詞

 第一章 偉大なパンタグリュエルの家柄とその由緒あること

 第二章 世にも恐るべきパンタグリュエルの誕生について

 第三章 ガルガンチュワがその妃バドベックの死を歎き悲しんだこと

 第四章 パンタグリュエルの少年時代のこと

 第五章 気高いパンタグリュエルの若い頃の行迹について

 第六章 パンタグリュエルが変体フランス語を使うリムゥザン男に会ったこと

 第七章 パンタグリュエルがパリにきたこと、ならびにサン・ヴィクトール図書館の見事な典籍について

 第八章 パリ滞在中のパンタグリュエルがその父君ガルガンチュワの信書を受け取ったこと、ならびに右信書の写し

 第九章 パンタグリュエルがパニュルジュに廻り会い、これを一生涯愛したこと

 第一〇章 パンタグリュエルが驚くべき晦瞑難解な論争を公平に裁き、しかも極めて正しかったので、その裁き方が〔ソロモンのお裁きよりも〕甚だ賞讃すべきものと言われたこと

 第一一章 パンタグリュエルの面前で尻尾嘗麿之守と透屁嗅正之守とが弁護士なしで黒白を争ったこと

 第一二章 透屁嗅正之守がパンタグリュエルの面前で弁疏に及んだこと

 第一三章 パンタグリュエルが二人の貴族の悶着に判決を下したこと

 第一四章 いかにしてパニュルジュがトルコ人の手から逃れ出たかを物語ること

 第一五章 パニュルジュがパリ市城壁を建造するための斬新極まる方法を伝授すること

 第一六章 パニュルジュの習癖と為人とについて

 第一七章 パニュルジュが贖宥符を買ったこと、また老婆を嫁入らせたこと、また、パリでかかり合った訴訟について

 第一八章 イギリスの大学者がパンタグリュエルを相手に論争をしようとし、パニュルジュに負かされたこと

 第一九章 身振り手真似で議論するイギリス人をパニュルジュがぺちゃんこにしてしまったこと

 第二〇章 豪井物成がパニュルジュの美徳と智識とを物語ること

 第二一章 パニュルジュがパリの或る貴婦人に恋慕したこと

 第二二章 パニュルジュが少しも靡いてくれないパリの貴婦人に悪戯をしたこと

 第二三章 乾 喉人が不被見人の国を侵したという報知を聞き、パンタグリェルがパリを出発したこと、ならびにフランス国では何が故に里程基準が大変短いかについて

 第二四章 使者がパンタグリュエルに届けたパリの一貴婦人からの書面、ならびに黄金の指環に記された文字の説明

 第二五章 パンタグリュエルの従臣パニュルジュ、カルパラン、ユステーヌ及びエピステモンが極めて巧妙に六百六十騎の敵兵を退治したこと

 第二六章 パンタグリュエルとその一行の者どもが塩漬肉を食うのにあきあきしたこと、ならびにカルパランが狩猟に出かけて獣の肉を手に入れたこと

 第二七章 パンタグリュエルが一同の武勲を記念するために戦捷飾りを作り、パニュルジュは小兎の思い出のために別な戦捷飾りを作ったこと、またパンタグリュエルの転矢気から小男が、透し屁から小女が生れ出たこと。またパニュルジュが二つの杯に懸け渡した太い棒を断ち切ったこと

 第二八章 パンタグリュエルが極めてふしぎな遣方で乾 喉人と巨人族とに打ち勝ったこと

 第二九章 パンタグリュエルが切石で身を固めた三百人の巨人とその隊長人 狼とを退治したこと

 第三〇章 切られ首のエピステモンがパニュルジュによって巧みに治癒されたこと、ならびに悪魔や地獄堕ちの人々の話

 第三一章 パンタグリュエルが不被見人の町へはいったこと、ならびにパニュルジュが混乱麿王に嫁を世話し、緑 醤 油の呼び売り人にしたこと

 第三二章 パンタグリュエルがその舌で一軍団の兵士たちを全部包んでしまったこと、ならびに著者がパンタグリュエルの口のなかで何を見たかについて

 第三三章 パンタグリュエルが病気になったこと、ならびにどうして全快したかについて

 第三四章 本書の結びの言葉と著者の言いわけ
   解  説
   後  記
   訳者略註

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

54
第二之書からは、ガルガンチュアの子パンタグリュエルの話に。パンタグリュエルとは中世伝説の人に渇きをもたらす小鬼だが、この作品では、パンタグリュエルは小鬼ではなく父同様の巨人で王国の跡取り息子。三百人の巨人たちや人狼と戦ったり、言い争っている貴族たちの調停をしたりと、王族らしい活躍を見せる。パンタグリュエルの喉元に住む人々の国とか、蘇生させた人狼が語る地獄めぐりの話など抱腹絶倒の法螺話もおもしろいが、冒険譚や法螺話に紛らせた裁判制度や教会に対する批判は、なかなか痛烈だ。個性的な家臣パニュルジュの存在も光る。2016/12/11

roughfractus02

9
父ガルガンチュアの物語(第一之書)より、息子が先に生まれるかのように本書は出版された(史実では、作者不明の小編「ガルガンチュア年代記」に作者が触発されて息子の膨大な物語から作ったとされる)。乳児の時から乳牛やクマを喰らったこの巨大児は、長じて中世7学科を極め、大学者と論争してあらゆる難題を解く。が、乞食パニュルジュに出会って家臣にすると、お金を稼ぐ方法とその3倍以上の使う方法を彼に学び、戦争に赴いてすぐ勝ちを収めればその後延々饗宴を繰り広げる。後世はこの転倒的暴走を「パンタグリュエリズム」と呼んだという。2019/09/29

てれまこし

8
書誌では第一之書よりこの第二之書が先に上梓されたらしい。それゆえか第一之書より思想的な要素は少ない。文筆で糊口を凌ぐため一般読者向けの滑稽話を書いたという感じ。といっても、人文学者の博識があちこちにちりばめられてるんだが、それさえ民衆的な洒落や地口の類でコケにされてる。神学者・法学者の厳かな言葉を茶化される。ドン・キホーテもそうだが、ルネサンス期にはどうも言葉から神性が剥ぎ取られた。生首を胴つなぐ話とか巨人の口の中にある町で暮らす荒唐無稽な話などは昔話にありそうだが、民間文芸が文学化する過程で生れたか?2022/09/02

mstr_kk

8
後半やや失速した『ガルガンチュワ物語』より、こっちの方が面白いです!ガルガンチュワの息子でやはり巨人の王子パンタグリュエルが誕生し、成長し、パリで修業し、母方の祖国(ユートピア)を救うため戦争し、「喉からから人」の国を平定し、病にかかり、全快するお話。言語遊戯の悪ふざけがベケット以上で、もう読むことが不可能なページすら多々ありますが、それも含めてずっと面白いです。内容も尻すぼみにならず、終始荒唐無稽。他の文学作品では味わったことがないような、素晴らしいメチャクチャさがあり、眼から鱗の感動です。2014/10/19

areazione

6
本巻からはガルガンチュワの息子パンタグリュエルのお話しです。才覚は親譲りのようで、若くして王者の貫禄があります。彼の大岡裁きは(流し)読む価値あり!本巻最大の面白キャラは、小悪魔的家臣パニュルジュでしょう。口がうまくて、ずる賢い。女癖が悪い。常に素寒貧で、ちょろまかすことばかり考えている。時には露骨すぎるギャグを放り込んだりもします。そんな彼ですが、デタラメ手話おじさんも顔負け必至の蒟蒻問答をやったりするので、侮れません。ルネサンス版地獄八景亡者戯とか、温泉の起源とか、(聞かなきゃよかった)小ネタも満載!2015/03/08

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