岩波文庫<br> パンタグリュエル物語 〈ラブレー第4之書〉

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岩波文庫
パンタグリュエル物語 〈ラブレー第4之書〉

  • ISBN:9784003250242

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内容説明

パンタグリュエル一行は大航海の旅へと出発する.世にも奇怪な,幻想に満ちた島々をめぐって出くわす人々や事件のなかに人間性圧迫者たちへの諷刺や批判がますます多彩に語られる.宗教改革をめぐる争いが激化し,不寛容と思想弾圧の荒れ狂う社会を背景に書かれたこの第四之書にはさらに進んだ深い味わいと意味がある.

目次

目  次
   令名ならびない大殿、畏敬し奉るシャチーヨン枢機卿オデ猊下に奉る書
   パンタグリュエル雄武言行録第四之書のための作者フランソワ・ラブレー師の新序詞
   旧 序 詞

 第一章 パンタグリュエルが聖バクブック〔徳利明神〕の神託を授かろうとして船出したこと

 第二章 パンタグリュエルが、不可在島で、見事な品々を買い求めたこと

 第三章 パンタグリュエルが、その父ガルガンチュワの書信を受け取ったこと、ならびに遠く離れた異国からの報道を実に素早く聞知する不思議な方法について

 第四章 パンタグリュエルがその父ガルガンチュワ宛に書信をしたためたこと、ならびに数々の珍らかで見事な品々を送り届けたこと

 第五章 パンタグリュエルが提 灯国から帰る旅人を乗せた一艘の船に出会ったこと

 第六章 口論が鎮められてから、パニュルジュが阿呆抜作を相手に、一頭の羊を値切ること

 第七章 パニュルジュと阿呆抜作との取引きの続き

 第八章 パニュルジュが、商人とその羊どもを海に溺れさせたこと

 第九章 パンタグリュエルが鼻欠島に到着したこと、ならびにこの国の奇怪な縁組関係について

 第一〇章 パンタグリュエルが、聖なる〔善良なる〕大食王の治める平安島へ上陸したこと

 第一一章 なぜ修道士たちは好んで厨房へ行くかについて

 第一二章 パンタグリュエルが代理委任島へ渡ったこと、ならびに法院族の奇怪な生活について

 第一三章 フランソワ・ヴィヨン先生のひそみに倣い、バシェの殿様がその御家来衆を褒め讃えること

 第一四章 バシェの邸で殴られた法院族どもの話の続き

 第一五章 約婚祝いの時の古い習慣が法院族によって甦らせられたこと

 第一六章 法院族の本性をジャン修道士がためしてみること

 第一七章 パンタグリュエルが蕩遊茫遊諸島へ渡ったこと、ならびに風車を喰う唐竹鼻割坊の奇態な最期について

 第一八章 パンタグリュエルが海上で大暴風雨から逃れたこと

 第一九章 パニュルジュとジャン修道士とが、嵐の間に、いかなる態度を示したか

 第二〇章 暴風雨の真最中に水夫たちが船を見棄てること

 第二一章 嵐が続くこと、また、海原でなされた遺言についての小談議〔また、ジャン修道士とパニュルジュとの対話〕

 第二二章 嵐の終り

 第二三章 嵐が終り、パニュルジュが陽気者ぶりを見せること

 第二四章 ジャン修道士が、パニュルジュは航海中理由もないのに恐怖したと明言したこと

 第二五章 嵐が終り、パンタグリュエルは、長生族群島へ上陸したこと

 第二六章 善良な長命が、パンタグリュエルに、英雄傑士の棲居と〔その霊魂の〕離脱とについて物語ること

 第二七章 パンタグリュエルが、英雄傑士の霊魂の離脱について、ならびに今は亡きランジェー公御逝去に先立って起った恐ろしい異変について説き明かすこと

 第二八章 パンタグリュエルが、英雄傑士たちの死に関する痛ましい物語をすること

 第二九章 精進潔斎坊が支配する潜伏島をパンタグリュエルが通ったこと

 第三〇章 精進潔斎坊が、クセノマーヌによって解き剖けられ、説明されること

 第三一章 精進潔斎坊の体の外の部分を解き剖けること

 第三二章 続いて、精進潔斎坊の挙動について

 第三三章 獰 猛島の近くで、一匹の物凄い鯨が、パンタグリュエルによって認められたこと

 第三四章 パンタグリュエルによって、怪物鯨が退治されたこと

 第三五章 パンタグリュエルが、腸詰族の昔からの棲居である獰 猛島に上陸すること

 第三六章 獰猛な腸詰族が、パンタグリュエルに対して伏兵を設けたこと

 第三七章 パンタグリュエルが、腸詰齧隊長と豚血腸詰斬隊長とを呼び寄せに人を遣わしたこと、ならびに様々な土地の名や人の名についての有名な説話

 第三八章 腸詰族は、人間にとって軽蔑すべからざるものであること

 第三九章 ジャン修道士が、腸詰族を討伐するために料理番たちと協力すること

 第四〇章 ジャン修道士によって牝豚が組み立てられ、勇敢な料理番たちが閉じ籠められること

 第四一章 パンタグリュエルが、膝で腸詰族をへし折ったこと

 第四二章 パンタグリュエルが、腸詰族の女王尼夫利節に談判をすること

 第四三章 パンタグリュエルが、風の島へ上陸すること

 第四四章 小雨が大風を打ち払うこと

 第四五章 パンタグリュエルが、教皇嘲弄族の島へ上陸したこと

 第四六章 小悪魔が、教皇嘲弄国の農夫に騙されたこと

 第四七章 悪魔が、教皇嘲弄国の一人の老婆に欺かれたこと

 第四八章 パンタグリュエルが、教皇崇拝族の島へ上陸したこと

 第四九章 教皇崇拝族の司教肥田凡頭が、我々に天 来教令集を見せたこと

 第五〇章 肥田凡頭によって、教皇の原 型が見せられること

 第五一章 夕食の間、教令集を讃える四方山話をしたこと

 第五二章 教令集より生ずる奇蹟の話が続くこと

 第五三章 教令集の功徳によって、黄金がフランスからローマへと、霊妙にも吸い寄せられること

 第五四章 肥田凡頭が、パンタグリュエルに、善きキリスト教徒の梨を与えたこと

 第五五章 大海原で、パンタグリュエルが、様々な溶けた言葉を聞いたこと

 第五六章 パンタグリュエルが凍った言葉のなかに、色々な愉快な言葉を見出したこと

 第五七章 パンタグリュエルが、世界第一の技芸宗匠大腹師の館に立ち寄ったこと

 第五八章 パンタグリュエルが、技芸宗匠の宮廷で、腹  話族や腹 崇 拝族を忌み嫌ったこと

 第五九章 鰐 口坊と呼ばれる滑稽な像について、ならびに腹 崇 拝族が、その神全 能 腹に、いかなるものを、いかにして献ずるかということ

 第六〇章 腹 崇 拝族が、時折り挟みこまれた肉断ちの日には、その神にいかなるものを献上するかについて

 第六一章 いかにして大腹宗匠が、穀物を入手し保存する方法を創案したかについて

 第六二章 いかにして大腹宗匠が、砲撃を受けても傷付かず、また弾丸も当らぬようにする技術と方法とを創案したかについて

 第六三章 パンタグリュエルが、偽善島の近くで、仮睡したこと、ならびに眼醒めた時に持ち出された色々な課題について

 第六四章 持ち出された色々な課題は、パンタグリュエルから返答を得られなかったこと

 第六五章 パンタグリュエルが、その家臣たちと、晴天を希って酒を汲んだこと

 第六六章 盗人島の近くで、パンタグリュエルの命令一下、詩神たちに敬礼を送ったこと

 第六七章 パニュルジュが、故もない恐怖から垂れ流し、大猫の脂 身 齧を悪魔の子供だと思ったこと
   解  説
   後記
   訳者略註

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

51
パニュルジュの結婚の是非を決められず、パンタグリュエル一行は徳利明神の神託を受けるため大航海の旅に出る。彼らが立ち寄った島々で出会ったのは、フランスの裁判関係者、教会関係者を揶揄って寓意的に表した人々。思想検索や弾圧の厳しい時代に、自分の立場を何らかの形で表し残そうと思ったら、このような韜晦的な態度を取るしかなかったという、この時代の闇の深さを感じる。そんな中でも、教皇愚弄族の島で教皇を愚弄するようなしぐさをしてしまったため悪魔に支配されることになった人々が巧みに悪魔を騙す話など、民話的な要素も見られた。2016/12/13

てれまこし

12
パニュルジュの結婚問題に関するお告げを聞くために航海に乗り出したパンタグリュエル一行は、様々な島で様々な人々に出会う。大航海時代の冒険譚の形式を借りて現実世界の諷刺を行なってる形になる。第三之書と同じくラブレーの歴史的、政治的思想が前面に出てきている。だが第二之書の宇宙観は健在であり、相変わらず下品。この話も強烈なうんこの話で締めくくられる。だが、際限のない糞やふぐりに食傷気味でも、バフチーンのラブレー論の後では、まったく新鮮に読める。まだバフチーンを知らなかった訳者の真面目な困惑ぶりまでおかしく読める。2022/10/10

フリウリ

10
前巻でのパニュルジュの結婚に関して「徳利大明神」の託宣を得ようと、航海に出たパンタグリュエルら。航海はなお続いていますが、大砲に驚いたパニュルジュがウンコをもらしてこの巻終わり、ってなんのこっちゃ。古書店で入手した本巻の岩波文庫の帯には、「ラブレーは不寛容と思想弾圧の荒れ狂う中で韜晦の影に深い意味をひそめる」とあり、まあそのとおりなのでしょうが、ラブレーは上から入れる(食べる)のと下から出す(排泄する)のがとにかくお好きなので、この点、よりご注力いただきたかったと、後世の無責任者は遺憾に思います。72023/11/20

roughfractus02

7
N・フライが物語と区別して「小説」をなんでもありのジャンルに分類したのは、「小説」が読む者の習慣を揺さぶるからだろう。既成の物語パターンを崩す「小説」を読む者に試されるのは、異質なものがぶつかり合って奏でる不協和音に満ちた時空に止まり続ける寛容の態度である。キリスト教圏から出て海に乗り出すパンタグリュエル一行はインドへ向かい、「徳利明神」の託宣を得るまで奇妙奇天烈な諸習慣に出会う。カトリック的習慣への批判を含むこれら記述は、読者に寛容さを求める。18世紀になり、この旅に触発されて、ガリヴァーの旅が始まる。2019/10/01

イタロー

3
酒の神に会うため航海の旅へ。ますます奇想天外荒唐無稽に。相変わらずの列挙の嵐。飲まなきゃソンソンな陽気さ。寓意に込めた現実に対する苦々しさ。含蓄ある乱痴気騒ぎの愉しさ。この巻をもってラブレー最後の作かもしれないし、そうでないかもしれないらしい。そこもまたいい。2022/11/22

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