内容説明
「君は――私に触れられるのがいやか?」竜の“花嫁(いけにえ)”として捧げられた山城国の姫、澄白とその夫となった白竜のシュトラール。奪われた始種の骨を取り返すため、黒竜の領地に向かった澄白たちは、略奪者たちが既に離反していたことを知る。その帰路、突如現われた隻眼の黒竜に澄白は攫われてしまい…。孤高の竜と彼を伴侶に選んだ女性との出会いが、澄白に竜を愛すること、その《永久》となることを意識させて――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっぱ
21
隻眼で片角の黒竜アクダルとアクダルの一生に唯一の「永久」、人間の女性の沙久羅。桜の下でのアクダルと沙久羅の最後に、胸が一杯になった。沙久羅を失った後のアクダルの身に起こった事が、哀れでならなかった。2014/04/23
探花
10
アクダルと沙久羅の想い合ってる様子がすごく綺麗で切ない。短いとわかってはいるけど束の間の幸せな時間。ずっと来なければいいのにと思いながら実際訪れたその時に自分はどんな行動をするだろう。置いて逝く立場と置いてかれる立場。人と竜の儚い永久を目の当たりにしてシュトラールと澄白は何を思ったのかと考えるとぐっと喉に詰まって切ない。ヘルツの母のアメテュストもアクダルも「竜が人に添い遂げる」関係だったけどその逆の方法はないのかな。人間が不死になるとか。そういう意味では澄白は「竜の世界に来た人間」として新しい可能性かも。2012/11/04
U
10
せつない……。家族が理解しないのも悲しい。お医者さん拉致ってきちゃうとことかはかなりNGだけど(苦笑)、それだけ深いんだなあ。それから、後悔するほどの人の想いも。化け物扱いされた澄白も悲しい。それにあまりこだわっていないのも悲しい。澄白をめった刺しにしている過去は、当然だけれど、まだ癒えないんですね……。これ読んでいて、『皇子と姫君』が強烈に読みたくなりました。永野さんの中で一番好き。これも書籍化しないかしら(笑)2012/11/02
ゆん
6
竜とその永久との関係…生きて来た世界も寿命も違う種族が、互いを想うって事は、生半可な思いだけでは成り立たない。アクダルと沙久羅を見て、澄白は、シュトラールは、何を思うんだろうか。今後の2人の関係が気になるし、周りの状勢もきな臭いしで、早く続きが読みたい(>_< )2012/10/31
ukyo
5
澄白が口づけNGにしたので糖度は低め。話の全体は竜と永久の人間の話で、かなり切ない。想像してたよりも辛そう。アクダルが永久の後を追えたのは、幸せかもしれない(死に方は幸せじゃないけど)。澄白とシュトラールの二人がどうするのか気になります。早く続き読みたい!読みたすぎて悶々するので、私は完結した後に読む方が健康的かもしれない。2012/10/26