内容説明
悠太もいまや六十代半ば、娘・夏香は父親が神戸で町工場を経営する青年と結婚し、息子の悠助もプロのピアニストを目指し始める。ところが、阪神大震災と地下鉄サリン事件が二人の運命を大きく変える……。昭和初期から世紀末までの波乱の時代と一族の歴史を描く著者のライフワークついに完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
67
言い方は悪いが、正直ようやく終わった感じだった。大河小説の終わりかたの難しさを実感していた。悠太を軸に物語は進むが、時代の流れは速すぎて 駆け足で話題を流している感が否めない。『永遠の都』のヒロイン夏江も79歳。各人が各々の視点で人生を総括する、 そんな巻だった。だが、今に視点を置いて、今ではなく過ぎ去った人生を描く、これはこれで静逸で、終章の「旅路の果て」は読んでいてしんみりとしていた。悠太と千束が交互に記す日記。生き抜いた者たちの立派な記録であり、悠太の各人に宛てた遺書は生きた証の手紙だった。2013/08/25
松本直哉
25
前編『永遠の都』を含めて12冊、悠太の6歳から70歳までの物語、それは20世紀のこの国の、二二六から地下鉄サリンまでの多くの事件の悲惨と苦難の歴史とともに、その中で悩み苦しみつつ自らの道を求める人々の軌跡であった。父性の定かでない火之子・央子・武太郎の三者三様の生、千束・桜子・夏江の、稼ぎを男に頼らない女たちのしたたかな生がとりわけ印象に残る。合間に挟まれる文学・芸術・政治・文明・歴史をめぐる対話を経て、一人一人この世から退場してゆくが、振り返ってみればこれは、過ぎ去った人々への鎮魂の物語なのだった。2024/10/06
アンコ椿
2
女房の手術に立ち会い、病院の待合室で読む。そのせいか、つい感傷的になる。さまざまな生の躍動があって、やがて死が訪れる。生と死のありようや宗教について考えさせられた。個人的には永遠の都シリーズの方が好き。2012/08/29
四男の母
1
阪神大震災や地下鉄サリン事件の両方とも家族が関わるというのはいかにも小説らしいが、読んでてその時代の不穏な雰囲気を思い出した。後半は老後の悠太で終わりの章という感じだった。おもしろかったが、やはり、永遠の都を先に読みたかった。次、読みます。2020/09/09
ジェリーねえさん
1
永遠の都7冊、雲の都5冊、大河小説を読み終え満足してます。永遠の都では、戦時下で普通の人々は、何も知らされていなかった事を実感しました。これからも有事の際には同じような事が起きると危機感を持ちました。 このシリーズの魅力は山の手の知識層の家族を描いているのですが、時田利平も小暮悠太も色々な階層の人々と交流し、関わりの中で生き方を認めていることだと思います。1人1人が与えられた環境の中で自分の生き方を見つけ、思いを語り、お互いを大切にしている。そんな事を感じました。読み応えのある長編小説でした。2017/07/21
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