内容説明
昭和27年、一代で三田に外科病院を築いた祖父時田利平はすでに亡く、一族の長老、政治家の風間振一郎も急死した。東大の医学生悠太はセツルメントに関わっている、後に“血のメーデー”と呼ばれるデモに参加して負傷、妹央子はヴァイオリンの才能を認められパリに滞在している。占領が解かれ、混乱しつつ復興する東京を舞台に、『永遠の都』の外科病院一族の戦後を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
205
『永遠の都(全7巻)』がよかったので、その続編である『雲の都』を読んだ。一代で三田に外科病院を築いた祖父時田利平はすでに亡く、一族の長老、政治家の風間振一郎も急死した状態。『永遠の都』では子供だった悠太が主人公で、著者の自伝的要素が反映されている。東大の医学生悠太はセツルメントに関わり、妹央子はヴァイオリンの才能を認められパリに滞在。米軍の占領が解かれ、混乱しつつ復興する東京を舞台に、やがて迎え来る大学の政治の季節の雰囲気をうまく伝えている。2015/11/08
それいゆ
20
以前、著者の「高山右近」を苦労して読了したことがあります。その時は、右近の講演会を主催することになり、資料を作成し来場者に説明する時間を与えられたこともあって、必死に読みましたが難儀しました。この「雲の都」は、それ以上に難解で途中でギブアップです。読み方が分からない漢字が多く、文章も深い闇の中に迷い込んだように芸術的です。興味深い壮大な物語なのですが、「伝える力」「聞く力」「別れる力」という言い方をするならば、私には「読む力」が明らかに不足です。「我慢する力」もないのかもしれません。情けないの一言です。2013/02/03
キムチ27
8
「永遠の都」に続く小説と云う事で、時田一族の次の世代・・風間、脇田、小暮家の各人が種々に動いている。筆者の自叙伝的内容と云われているが、登場人物の多さと「延々と続く」感じの文章で読みとおすにはひたすら、体力がいる。 Ⅰは小暮悠太が主人公、医学生となった彼が東大紛争に巻き込まれ、血のメーデー事件を体感するまでの下り。長老、風間振一郎が急死し、妹央子はバイオリニストの才能がパリで開花始める。時代は戦後混沌から復興への時、東京を舞台に外科一族が織りなす人生模様・・いいも悪いも読んでいくしかない。2013/04/27
TAKAMURA
2
お気に入りの作者の4冊目の作品。登場人物が多いが、読み進めるうちにそれぞれが際立ってくるので 問題なし。 後半から一気に楽しめた。2017/03/09
ももや
2
永遠の都の主人公と、物語の背景にある時代があまりにもむちゃくちゃだったので、比べて本作は平穏で思索的。悠太、あんまり可愛くない。シリーズあと4作読み続けられるか自信はないが、2冊目を借りに図書館へ行って栗饅頭!2015/11/22