内容説明
今だから読みたい、理想に生きた詩人。
岩手の生んだ偉大な詩人にして童話作家の宮沢賢治は、人間の魂の真実の深み、自然の巧まざる真実の美を、鮮烈で絢爛たる言葉の魔術を駆使して詩に描いた。その言葉の数々は、宇宙に煌めく星のように、私たちのこころを射ぬく。すべての詩に、背景や言葉の意味がよくわかる鑑賞解説付き。
永遠の詩シリーズは、今日的に意義のある詩人をとりあげ、代表作を厳選しました。わかりやすい解説で、詩があなたにもっと近くなります。
目次
星めぐりの歌
屈折率
くらかけの雪
春と修羅
蠕虫 舞手
小岩井農場(抄)
林と思想
報告
高原
印象〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
36
「銀河鉄道の父」で、宮沢賢治の生き様に興味を持って。背景を知って理解もやや進んだものの、やはり難解なものも。2018/08/15
あきあかね
34
「海だべがど、おら、おもたれば やっぱり光る山だたじゃい ホウ 髪毛 風吹けば 鹿(しし)踊りだじゃい」(『高原』) 草の海原を吹き抜ける風が感じられ、自然と交歓する喜びが伝わってくる、伸びやかな詩。宮沢賢治の詩は花巻の方言を織り込んだかと思えば、銀河や鉱石など科学の言葉も散りばめられ、唯一無二の世界観を築いている。中でも、相手のことを真摯に想い、真情を吐露した詩が胸を打つ。 『告別』では、花巻農学校を去るに当たり、賢治が教え子に率直に語りかける言葉が詩になっている。当時の厳しい東北の農村では⇒2020/07/05
kanata
21
「永訣の朝」「無声慟哭」「青森挽歌」は、妹への想いが深い。「青森挽歌」の【あいつだけがいいとこに行けばいいと/そういのりはしなかったとおもいます】が切ない。妹が大事だけど、自分の理想は世界ぜんたいのしあわせにあるのだと自戒する姿にヒリヒリ。農業に音楽に修羅をあるく賢治はなんでも真剣だから感銘を受ける。あとがきで椎名誠氏は誠実にも「僕はきちんと賢治を読んでこなかったし、理解もできてなかった」と告白するが、そんなのわたしもだ。むつかしいものが多いなか〈雨ニモ負ケズ〉はわかりやすいから広まったんだろうな。2018/02/08
ひろ20
20
読友さんの感想を読んだら、すぐに春と修羅を読みたくなって、図書館に直行。地域の図書館ですが、親切な司書さんが私と一緒になって、宮沢賢治さんの春と修羅が書かれている本を探してくれました。実際手にとって読んでみると、理解するには難しかった。2冊借りた本の解説を何回も読みました。(理解できたとは言えない)でも、「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」の3編は、言葉が難しくても、賢治が妹トシに対する思いが私に深く深く伝わってきて、涙なしでは読めませんでした。蜜蜂と遠雷の続きに戻ります。2017/01/15
Re哲学入門者
6
やっぱり宮沢賢治は良い。読んだことのないものが多くて楽しめた。制作作品年代に準じて詩を並べてあるのが良い。詩についてくる鑑賞解説は、詩の理解をより一層深めてくれて読んでいて楽しかった。宮沢賢治の詩は、心地よいリズムと美しい表現が混ざり合うようで素晴らしい(さすが「宮ザワザワ賢治」と呼ばれるだけある)2025/02/27