内容説明
梁山泊は戦によって、潰滅寸前にまで追い込まれていた。回復の時を稼ぐため、侯健(こうけん)と戴宗(たいそう)が偽の講和案を持って開封府に近づく。また、晁蓋(ちょうがい)を殺した史文恭(しぶんきょう)が再び動き出した。名を変え、商人になりすまし、次なる標的のそばで暗殺の機を待ち続けている。それに対し、公孫勝(こうそんしょう)は袁明(えんめい)の首を狙っていた。堅牢な守りをかいくぐり、いま、致死軍が青蓮寺を急襲する。北方水滸、暗闘の十六巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
289
陰謀だらけのダークな色調。かなり好きな巻。前巻で、遂に念願叶って扈三娘と結婚した王英の一瞬での破局や、顧大嫂と孫ニ娘の絡み酒シーンなど、随所に吹っ切れた笑いの場面があるのもバランスとして最高。しかし、梁山泊の裏方の者たちの死に様で、これだけ面白いエピソードを作ってくれたことが凄い。裴宣の最期はかなり哀しいものであったし、孫新と顧大嫂が一緒にいるところをもっと見たかった。イケメン燕青と洪清の一騎打ちも痺れるが、なんといっても童貫の初陣のインパクト。長く引っ張ってきた期待にじゅうぶんに応える強さを見せつける。2021/12/22
しんごろ
171
官軍との戦いを終えて、力を溜める一方で、闇の戦いが始まった!青蓮寺との死闘を筆頭に暗殺合戦!日の目を見ない致死軍、飛竜軍の豪傑達の戦いにページをめくるスピードが加速してしまった!そんな中、王英は何をしているんだ(笑)今ならゲスの極みと言われるぞ!ある意味で梁山泊の女傑も凄い!そして優しさも感じる女傑達だ。そして次世代を担う若き豪傑達も現れる。嵐の前の静けさを感じる、今回の馳驟の章。いよいよ禁軍も出陣する激しい戦いの序章なのだろうか。次章がまた楽しみになる。2017/12/02
ehirano1
144
終に袁明が散る衝撃の本書。しかし、これがまた狂おしいほどの潔良さと公孫勝に送った「いい国を目指せ、公孫勝。梁山泊がそうやって闘えば、宋もまたいい国になる」が良過ぎてどうにも収まりません。登場最初から宋が抱える病的腐敗やそれに代表される高俅などとはレベルが違うと思っていましたが、案の定でした。そういう意味では著者も袁明を大切に扱ったのですね。2020/01/11
納間田 圭
118
巻末の吉川晃司さんの鋭くとんがった解説は心に響きました。前巻で奇跡的に壊滅を免れた梁山泊軍。その壮絶な戦の傷痕は深く…回復の時間を稼ぐための…あれこれの章。それは…官軍側も状況は同じなのだが。しかしこんな時はこんな時で…両軍とも裏の役者がしっかり活動開始。晁蓋を暗殺した男がまた登場し…再び仕事を。対して梁山泊側も…刺客を発動し倍返し。致死軍VS青蓮寺…まさに暗殺合戦。そして…いよいよボスキャラ禁軍元師の”童貫”が始動。そんな中…”王英”の浮気が懐妊中の”扈三娘”にバレた。実はコレも…官軍の罠なのだが2022/02/27
レアル
104
大きな戦はなかったとはいえ、男女の仲や次の戦いの為の武器集め、そして宋と梁山泊の主要メンバーが消えていった章だった。私が女だからか、白寿の存在が扈三娘にバレて王英にのりこむ場面、また顧大嫂と孫二娘が二人の男たちを振り回し大暴れしながら飲み明かすシーンに魅せられた。そう、梁山泊は男だけではない。そしてとうとうラストも近づいてきたのか残りは童貫だけになった。倒せるのか!2013/01/25