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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
393
もはや此処まで読んで言うことはない。ただ最後の言葉を繰り返すのみである。『待て、而して希望せよ!』と―― 主人公エドモン・ダンテスは、奇しくもイタリアの詩人ダンテ・アリギエーリの代表作『神曲』に被る。『神曲・地獄篇』では地獄の門に”この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ”の銘が記されている。神や仏などに安易に縋りつき頼ってしまうような希望は、人を立ち止らせ、そこから前進できなくしてしまう。2017/02/25
遥かなる想い
248
壮大な復讐劇 完了の巻である。 ドラマの後 読むと、 原作を損なわないように、 ドラマ作りをしようとした苦心が 実感できて 面白い。時代がかった言い回しも、 出来すぎた設定も まさに 王道の復讐劇だった。 2018/07/15
ケイ
168
ネタバレです 「この一人の男、ある時はサタンのように自分自身を神にひとしいものと考えながらも、やがてはキリスト教徒の謙虚さをもって、神だけが至高の力と無限の知恵であることを認めるにいたった…」 彼を14年も閉じ込め、そのことすら忘れていった者たち。忘却が何より許せなかったのだろう。しかし、メルセデスさえ一人でいればダンテスは救われたはずだと思うと、すべての復讐をもってしても彼のさみしさは拭えないのだと思う。2017/02/06
海猫
141
ついに読み切った。本筋は痛快な復讐劇でありそういった楽しみも大いにあるが幾重にも絡んだ物語は群像劇的でもあるし怒涛のストーリー展開に酔う陶酔があり小説を読む快楽がふんだんにあった。終盤著者が結末のつけ方に主人公ダンテスと同様迷っているふしがあるのが生々しくそれさえも作品の深みになっている。その上で「待て、そして希望せよ!」でエンディングとあれば深い余韻にひたらざるをえない。全7巻久々に小説というものの醍醐味を味わわせていただきました。私にとって生涯残る作品になるのは間違いないです。2013/03/12
優希
116
遂に最終巻です。モンテ・クリスト伯の復讐は罪の軽い者から遂げられていったようですね。悪人たちが倒れていく中で復讐に疑問を持ち始めるモンテ・クリスト伯。悪にも神にもなることができたのに、結果として本来のエドモン・ダンテスの心を取り戻したのが全ての赦しに繋がったのだと思います。復讐鬼になろうという想いが心を占めていた中、メルセデスの一言が気持ちを動かしたのでしょう。だからこそ最後の復讐は抑えられたのかもしれません。復讐劇としてではなく、希望を見せる最後が爽やかでした。2016/07/09