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内容説明
復学したジェルミが突然ハムステッドのイアンの元へ戻ってきた。それは、あの自動車事故からちょうど一年がたった日だった。追憶の中に現れる、グレッグ、サンドラ、そしてジェルミとイアンの真の姿と愛は?完結!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
毒兎真暗ミサ【副長】
33
遭難後ジェルミとイアンの隙間にいたナディアも幸せになり、全ての人が寛解の方向へ。ジェルミの遭難はいつもクリスマス……それはサンドラの命日であり、悼んだジェルミをイアンの愛が産み治す。その後は只真っ白な世界の瀰漫。ギリシャ、ヴェニス、自由と芸術の空を飛ぶ鳥となる。贄となった子は親もまた贄であったと。許し、自ら負の連鎖を断ち切りながら聖夜に懺悔する二人。苦悩はその日だけと決め、あとは光の方へゆく。小鳥のように囀りながら、シューベルトの菩提樹を歌おう。番のように側にいるから。涙の海を舟漕ぎいでる、感動の最終巻。2023/07/07
そらねこ
32
親は子供にとって人間ではなく神であり、愛は支配と服従を強いるのだというジェルミ。ジェルミにとって愛は苦痛だ。この物語は母親と義父に踏みにじられたジェルミをイアンや周囲の人々がもう一度彼を産み、再生させる物語だった。愛することを試してみてもいいだろうか…とジェルミがイアンに言う。そして彼をもう一度再生することが出来たのはイアンの愛の努力で、やはり愛は素晴らしいという一文に尽きる。子供から見た親は神に等しい存在だがやはり親も万能なわけではなく、子供は成長しながらそれを知り、別な愛を探していくのだ。2017/01/28
辺辺
15
積本崩し。残念ながら、己はこういう絵がそんなに好きではないのと、物語がもっと核心的「家庭内性的虐待」について掘り下げて欲しかったな。(普段殆ど少女マンガ読まないせいだろうな)解説に山藍さんの登場にはびっくり。なるほど、確かに流れが結構重ねてる処が多いな。モーさまの推薦で山藍さんが日本SF作家クラブに入会したとは知らなかったな。こういう重たい作品の後には軽いなにかを読みたいな。2018/02/10
赤とんぼ
14
ジェルミが愛する相手は、イアンでなければならなかったのだろうか?どうすれば、イアンを愛せるのだろうか? そこが、最後まで理解できなかった。 傷と共に対峙してくれたから?告白できたから? 全てを捨ててでも、そばにいてくれたから? わかる気もするけれど、納得はできなかった。 自分なら、あまりにも傷に近すぎて、あまりにも、グレッグの影が大きすぎて、イアンだけはダメだと思ってしまうけど。だから、いいのか?? 傷を隠したり否定されるよりはいいのかも。2018/05/12
阿部義彦
13
完結、ナディアはヨルクと結婚。二人の兄弟はこれからも、孤独を埋め合わせながら生きて行くのだろう。サンドラが 一番罪作りなような自分の息子を夫の嗜虐趣味の対象に捧げていたのだ。女性は恐いわー。イアンとジェルミは女性の思惑の上で踊らされていたとも取れる。グレッグが一番の怪物ではありますが。もうぐったりしました。ラストが微かに希望のもてるオープンエンドで良かった。2015/10/03