内容説明
わんぱく少年トムは、宿なしっ子ハックを相棒に、騒動を巻き起こす。海賊気どりの家出、真夜中の殺人の目撃、洞窟で宝探し、そして恋。子供の夢と冒険をユーモアとスリルいっぱいに描く、少年文学の金字塔。太字や強調なども、原書を忠実に再現した決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
501
25
大人の今から見ればがらくた当然のものに言い知れぬ魅了を感じて高い価値をおき、迷信や自分ルールに魅惑される、世界が鮮度を持っていた子ども時代の感覚が蘇る。著者が冒頭で言及するとおり大人にも、寧ろ大人だからこそ読む価値がある。登場する子たちは誰もが純真で、子どもは大人の文化の中で生きながら大人の世界とは独自の文化を持っている。トムとハックはやんちゃな性格で共通し似たもの同士だが、育ちの背景が決定的に異なる。そういったところにシニカルさがあり、読んでいて子どものわくわくを感じるとともにはっとさせられる。2016/03/15
吉野ヶ里
19
読んでてなんか懐かしくなる。馬鹿な子供だったころはこんな感じだった気がする。ベッキーとトムが喧嘩してるところとかあーあーあーあーってなる、気の引きかたとか。もうちょっと全体的に削れたかなあ、とは思うけれど、なんだかワクワクしたので良しとする。洞窟とか探険したいなあ。出てくる大人も子供もどこか素朴で、いつも混乱していて、優しい世界観なのに、インジャー・ジョーのように誤魔化しのない悪が配されてるのにも好感。 迷信と合理化の間の時代。2016/03/27
A.T
14
読み進むにつれ、ただのいたずら小僧から悪ガキへと成長していくのが意外な展開。でも、考えてみると子どもだからといって小僧とワルの線引きをしなければならないわけでもなく、子どもを枠にはめて考えてしまうのは自分の頭が固いせいだったのかも。子どもが主人公のドラマでも、実はおとなへの皮肉が結構込められているのが良いです。2015/12/06
羊の国のひつじ
14
久々に冒険もの。これも「らい麦畑でつかまえて」と同じく子供の頃に読むべき作品。読むのが遅すぎるぜ自分。だけど今読んでも十分楽しめた。トムソーヤーみたいな悪ガキが現実にいたら手に負えないだろうが、小説の中でだととっても頼もしい存在。次は何をやらかしてくれるのだろうか、どんな突拍子もない悪戯をおっぱじめるんだろうかと、わくわくしながら読める。こういう子供の心情を上手く表現するトウェインはどんな人なんだろうか。そんなことも考えながら続編のハックルベリイ・フィンの冒険へ。2015/10/25
聖龍
8
全米図書賞、ピュリツァー賞をはじめ5冠に輝き、傑作との噂される『ジェイムズ』を読みたいと思い、それは『ハックルベリ・フィンの冒険』を逃亡した奴隷ジムの目線から過激に描き直した本ということなので、それなら『トム・ソーヤーの冒険』から読んでおく方が良いと考え、久しぶりに読み直した。人に心配ばかりかける悪ガキの成長物語で自分にはどこが面白いのか今回もよくわからなかった。ただ、非常にシニカルな、それも現代の常識、習慣にも充分に通じる本質を突いた皮肉に溢れた物語だとは思う。そこが素晴らしいのかな。次はハックの物語。2025/12/11




