内容説明
アメリカ人ハンクが昏倒から目を覚ますと、そこは中世アーサー王の時代だった! 現代科学の知識で魔術師マーリンに対抗し次第に王宮での地位を固めていくが……SF小説の元祖とも呼ばれる幻の名作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
207
アーサー王の時代に紛れ込んだ男の 奮闘を描くタイムスリップ物だが、 軽快な筆致が楽しい。19世紀から紛れ込んだ ハンク・モーガンの視点で 描かれる アーサー王の時代の人々が素朴で微笑ましいのだが..著者の意図はどこにあるのだろう ..異端児の乱入により 人々の意識が 変革していく様は 著者の好む題材なのだろうか? 時代の風景を感じるには よい本だった。2017/04/06
ヴェネツィア
102
マーク・トウェインにこんな作品があるのを知らなかったのだが、朝日新聞の読書欄の紹介で知った。本屋さんでタイトルだけを見たなら購入しなかっただろう。構想は、なんとなく『ドン・キホーテ』を思わせるもの。痛快と言えば痛快だが、筆者の主張がダイレクトに語られ過ぎている点は、物語としての妙味に欠けるか。正直に言えば、中盤以降はやや退屈かな。2012/03/23
ずっきん
86
元祖SF、異世界転生、痛烈な風刺、ガーディアン必読1000、と様々な冠を持つ作品である。現代の読者にとっては、150年前のヤンキーが、15世紀に編まれた6世紀を舞台とするアーサー王の物語にぶち込まれるという、入れ子感がさらにお得。インフラ整備に火器製造、オレTUEEEの文句無しエンタメを楽しみつつも、真骨頂は人権向上を目指すハンクに立ち塞がる、貴族から奴隷にいたるまでの人々のリアリティだ。南北戦争を経た著者の、コンチクショウ!って悪態を聞きながら、あくまで暑苦しく展開するところが、米文学好きにぶっ刺さる。2020/12/07
扉のこちら側
80
2016年102冊め。【124/G1000】19世紀のアメリカ人が、6世紀にタイムスリップする。6世紀と19世紀の違いとともに、19世紀の人間の物語を21世紀の人間の視点で読むという二重に時代差を感じるおもしろさ。発表当時はタイムスリップ物の作品などなかっただろうしさぞ目新しかっただろう。SF作品ではなく、英国の階級差などの社会構造や宗教に関すること、アーサー王伝説などを予備知識として知っているとより楽しめる。2016/02/15
syaori
60
米国生まれの機械工が6世紀の英国にタイムスリップするアーサー王モノ。風呂も電気もない、騎士が出会えば殺し合い、王と貴族と教会が何重にも租税して食いつくす野蛮な世界で、主人公が19世紀の知識や技術で騎士や大魔法使マーリンをやりこめ、産業を興し、階級や教会の威信に反対し「文明化」を目指す姿は大変痛快。しかし19世紀との奴隷制の共通点から垣間見えるいつの時代も変わらぬ人の姿に加え、最後の電流や機関銃を駆使しての大虐殺では6世紀の無邪気な野蛮さから19世紀の無慈悲な野蛮さが照らし出されて、乾いた笑いが残りました。2025/12/12




