内容説明
池袋の街は眠らない。そこには、あらゆる人間がうろついている。インターネット上で私生活を見せるアイドル。計数機ですべてのものを数えつづける少年。秘密の風俗業者と、みかじめ料をとる組の男たち。カリスマデザイナー。女子高生監禁事件の未成年の犯人。ホームで余生を送る老人たち。家業である池袋西一番街の果物屋を手伝いつつ、ストリートファッション誌で人気コラムを書くマコトのもとには、今日もさまざまな事件がふりかかってくる。リアルな読みごたえの短篇4篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
460
IWGP(こんな略号もつい先日まで知らなかったのだが)第2弾。3つの短篇と中篇を1つ収録。今回は冒頭にいくぶん幻想的な序章を持って始まる。前作に比べると、ヤクザ組織との繋がりなど、やや守備範囲を拡大し過ぎたような感もある。それはマンネリを打破するための危険な一歩だったようにも思われるのだが。また、最後に置かれた中篇「水のなかの目」では、これまでは直接は描かれることの少なかった暴力が前面に押し出されてくるが、これも小説にとっては危険な兆候か。篇中では「銀十字」が番外的ではあるものの異彩を放っている。2018/11/16
starbro
257
石田 衣良は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。IWGPシリーズ完読プロジェクト, 今回は第二巻。https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11337296?sort=book_count&order=desc オススメは、「水のなかの目」です。約20年前に書かれた作品ですが、PHS以外はあまり古さを感じません。2018/11/29
HIRO1970
197
⭐️⭐️⭐️⭐️石田さんはまだ4冊目。福岡出張で読みました。このシリーズは2冊目ですが、相性が合うのか?私的にはかなりツボにハマっています。(シブい独自の世界観はある意味Vシネマ的ですが、好きです。)こういったお話を読んでいると今まで以上に西口あたりが怖くなるのだけがマイナスポイントです。当時はまだ余り外国人系の活躍はありませんが、今はチャイナタウンになってますので回を重ねると段々現在の状態に近づくのでしょうか?取り敢えず次は3冊目チャレンジしてみます。2016/09/07
zero1
169
鮮やかさと軽さはそのままのIWGP第二弾。「妖精の庭」はストーカー退治。LGBTは石田らしさ。表題作はLD(学習障害)の少年失踪。ベースはサヴァン症候群を描いた映画「レインマン」か。「銀十字」は下ネタ老人二人(笑える!)と引ったくり事件を追う。「水の中の目」は暴力団の秘密パーティー襲撃。事件の裏は予想できなかった。障害者の風俗というのはいかにも石田。女子高生コンクリート詰め事件(88-89年)がベースになっていると見た。石田らしくキレイゴトもあるけどグロな場面も。賛否分かれる?次は直木賞候補「骨音」。2019/06/03
れみ
141
IWGPシリーズ2作目。表題作はマコトとヒロキの心の通い方が好き。ページ数的にはこの本のメインになる「水のなかの目」は思った以上にバイオレンスで救いがなくてやりきれない。マコトのお人好しなところやタカシのクールに見えて奥底に熱が見えるところがやっぱり良い。2015/03/10