内容説明
「生きる」――その理(ことわり)を知るは唯一。琅燦(ろうさん)は、黄海に暮らす娘。戴国(たいこく)から訪れた男は、妖獣を狩ることを生業(なりわい)とする民の逞しさを知る。琅燦にとっては、男が語る国や政(まつりごと)が標(しるべ)となる――運命の邂逅(であい)を描く「異邦の客」。神獣たる麒麟は血の穢れを受けてはならぬもの。義をもってのこととて、人を殺めた泰麒(たいき)に生きる道は赦されぬのか――表題作「幽冥の岸」ほか、命と対峙し、生きる意味を問う4編。(解説・朝宮運河)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
236
心の支配を目論む者は逃げ惑う民を見下ろし何を思うのか。集団からの反逆を企む者、守る者もいる。どちらにも属さない者にも規律は存在する。偏狭と寛容、前者が結末で勝るとき十二国記は幕を閉じるのだろう。偽りを正したとして負けたのである。民を仲間を失ったのだ。過ぎ去れば僅かなこととなるが、忘れてはいけないこと数多。天帝の作られた摂理を超越した泰麒の代償は計り知れない。幽冥の岸で新たな苦悶の刻が動き出す。「白銀の墟玄の月」から七年ぶりの短編四話、蓬莱をも巻き込む争乱は終わりを告げない。償いの先を天帝が記すことを願う。2026/09/27
マッピー
185
忙しくて振り返り読書をしないまま読んだけど、やっぱり『白銀の墟 玄の月』だけでも読んでおくべきだった。できれば全部読み返したほうがよい。ネタバレなしで感想を書こうとなったら、難しい。だって『十二国記』って、細部にわたってちりばめられたあれやこれやを掘り起こして考察するのが醍醐味なわけで。でも、どの短編も、とてもいいとだけ言っておこう。どんな状況に陥っても、人は生きていかねばならない。自分を救うのは自分。相変わらず冷徹な世界観。でも、読後感はとてもいい、今回は。後を引きません、今回は。2026/09/17
天の川
57
短編4編。①偽王軍に密告し王師に壊滅的な被害を与えた村人の苦悩→『白銀…』を再読したい。②黄朱の少女と若き驍宗。黄朱の村の秘密→『図南…』を思い出す。③家生の白玉が知る、王を支えようとする人々→鈴と虎蕭の『風の万里…』が頭をよぎる。④病んだ泰麒を癒そうとする李斎、女仙、延麒、景麒…「幼かった泰麒の面影に皆が引きずられている」→やっぱり『迷宮の岸…』『黄昏の岸…』『魔性の子』は読まないと!そして「泰麒と自分は戦争を知らない世界に育った。罪を償うことで救われることもある」という陽子の言葉→『月の影…』も!→2026/09/22
Akki
47
もう、ひねった感想は全然いらない。面白すぎた。こうしてまたシリーズの最初から読み直すループに入るのだ。2026/09/19
あきぽん
44
待望の十二国記新刊は、戴国にまつわる4編。私は復習せずに読んだので記憶を掘り起こしながらの読書だったけど、できれば復習してからをおすすめします。あいかわらず深くて考えさせられつつ面白くて一気読み。この時代に平日の書店をお祭りにするすごい小説、本を読まない人は人生損してるぞ。2026/09/20
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