内容説明
栄華を極める光源氏への女三の宮の降嫁から運命が急変する。柏木と女三の宮の密通を知った光源氏は因果応報に慄く。すれ違う男女の思い、苦悩、悲しみ。最高峰「若菜(上・下)」から「鈴虫」までを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真琴
10
「若菜 上」から「鈴虫」まで。源氏は39歳から50歳。ああ、柏木・・・。この巻では、源氏をはじめ様々な苦悩が描かれる。訳者の角田さんも仰っていますが、本当に運命はほんの少しのボタンの掛け違えで動いてしまう。次巻(6月発行予定)が待ち遠しい。2024/04/12
rinakko
6
再読(角田源氏は初めて)。「若菜」から「鈴虫」まで。「若菜」は流石の面白さで、容赦ない因果応報の巻。もうそんなことも起こるまい…と安心していた矢先、光源氏に信頼を裏切られた紫の上は、それまで考えてもみなかった将来への不安まで抱く(辛…)。女三の宮を迎えることを決めた光源氏が、以前と同じように紫の上が妬いてくれると思い込んでいる辺り、如何なものか。紫の上から見て、女三の宮は嫉妬するには身分が高過ぎるし、そもそういう気持ちが薄れて心が離れつつあることもわからないのか…など。女三の宮もただ気の毒で…。2024/04/25
biwacovic
1
猫の表紙がかわいい。そしてこの猫が柏木と女三の宮の密通のきっかけとなるのだ。そこからのドラマチックな展開。妄執とも言える柏木の恋と露見を中心とする「若菜 上」「若菜 下」のドライブ感すごい。因果応報。あらゆる局面での光源氏の「お前がそれゆうな」感もすごい。しかしあらゆるモノノケもこの呑気なおじさんには取り憑かず周囲の人ばかりが病んでいく無常の物語・・2024/04/18