内容説明
ミイラ化した死体は何を語る?
引きこもりを抱えた家族を襲う悲劇。彼らは被害者か、それとも――。
光崎教授が抉り出す、深い闇とは?
浦和医大法医学教室にミイラ化した遺体が運び込まれた。亡くなったのは40歳の独身女性で、死後2週間が経っていた。
まだ4月だというのに埼玉で見つかった4体目の餓死死体だ。埼玉県警の古手川によると、女性は大学受験に失敗して以来20年以上引き籠っていたという。
同居していた70代の両親は先行きを案じ、何とか更生させようと民間の自立支援団体を頼ったが、娘は激昂し食事も摂らなかったらしい。
彼女はなぜ餓死を選んだのか? それとも親が嘘を?
だが、解剖を行った光崎教授は、空っぽであるはずの胃から意外なものを見つけるが――。
死体は嘘を吐かない――傑作法医学ミステリー第5弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
357
中山 七里は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。ヒポクラテスシリーズ第5弾、正に悲嘆、厭ミステリ連作短編集高齢者殺人譚でした。短編のタイトルも数字で厭な感じ、他人事ではなく、これからは高齢者の殺人が増殖するかも知れません。 https://www.shodensha.co.jp/hippocrates/2024/05/10
たっくん
260
「生きている人間は嘘を吐くが死体は嘘を吐かない」浦和医大法医学教室光崎藤次郎教授。准教授キャシーそして助教栂野真琴そして直情径行気味の埼玉県警捜査一課小手川和也刑事・・〇高校卒業以来20年引き籠っていたパラサイトシングルの女性のミイラ化した死体〇老々介護の末、浴槽で溺死した老人〇妻の入院に付き添い3週間ぶりに帰宅した男性は餓死した引きこもりの息子を発見〇引き籠りの息子の世話をする90歳の父親が遺した遺言動画等・・死体は何を語るのか、解剖を行った光崎教授の見た真実は哀しい。シリーズ第5弾、安定の面白さ。2024/10/15
hirokun
231
★4 今回のヒポクラテスシリーズは、司法解剖をテーマにというより、8050問題、老々介護など現実世界が抱える社会問題をテーマにストーリー展開がされる。中山さん相変わらずのリーダビリティに引っ張られ一気読み。エンタメ小説と社会派小説の良い所取りをしたような作品であるが、最後には推理小説としての落とし所もしっかり用意されている。2024/04/04
きいたん
205
『7040』『8050』『8070』…2つの年代間の軋轢と殺人を描いた5つの連作短編。しかもその関係は家族間。多くが引きこもり問題から来る殺人。古手川と真琴のコンビが遺体を解剖に持ち込み、光崎のメスで隠された真相を暴くというお決まりのパターンだが、今回は光崎の解剖よりも社会問題に焦点が当てられ、どの事件もやるせなくて気が滅入った。しかもそれがリアルな世界に直結している問題だということが更に気が滅入る。ちょっとした躓きから陥る引きこもり。この問題は根が深い。解決の糸口はどこにあるのだろう。難しすぎる問題だ。2024/04/11
いつでも母さん
194
ヒポクラテスシリーズ第5弾!光崎教授の出番は少ない(存在感は健在)帯に『引きこもりを抱えた家族を襲う悲劇』とある。5話の事件それぞれが苦しい。家族の話だから置き換えてしまうのか。私が気になったのは親の接し方だった。そこに行きつくまで何か・・何とか・・って思ってしまうのは他人事だからだろうか。『6030』の犯人はやられちゃった感(犯人捜しはいつも外す)3話目の『8070』は受け入れられずもやもや。プロローグからのエピローグがそう繋がるのねって、いや~な感じだけが残った。神原の言葉に反論出来ない私が嫌いだ。2024/03/28
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