内容説明
「クラムボンはわらったよ。」川底で蟹の兄弟が話していると、突然…。独自の視点から見た、季節の変化と生命の営みの物語、詩的な二編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
103
『やまなし』谷川の底で暮らすカニの親子の四季。5月、【クラムボン】が笑ったり、死んだりします。理由はカニには分からない。クラムボンが何かも分からない。12月、川に黒くて丸いものが落ちて、また浮かんでいきました。何だろう? お父さんが教えてくれました。「いいにおいがするやまなし」だと。『いちょうの実』秋になって、ぎんなんの旅立ちの日。出発を待ちわびる者、準備が間に合わずべそをかく者……。北風が迎えに来ました。「さよなら、おっかさん、さよなら」。歌のようなリズムが美しい2つの物語。2004年12月初版。2015/10/12
♡ま か ろ ん ✽.。
37
「クラムボンはわらったよ。」「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」「クラムボンははねてわらったよ。」「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」という所を宮沢賢治さんはどういう気持ちで考えたのだろう。と不思議に思い、印象に残った。2022/07/07
リリー・ラッシュ
28
『やまなし』「クラムボンは笑ったよ。」「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」…懐かしい言葉の響き。子供の頃、国語の教科書で出逢った宮沢賢治。どんな内容かなんて全く覚えていないのに、このフレーズを聞くと懐かしさがよみがえる。心地良い宮沢賢治の世界。『いちょうの実』旅立つ子供たちの希望と不安、子供たちを旅立たせる母親の喜びと寂しさ。旅立ちがそう遠くない息子たちを想い、最後の三行に私も癒されました。2021/02/23
shiho♪
23
図書室本 『やまなし』は6年生の光村国語に採用。『いちょうの実』が季節柄、気になって読む。いちょうの木と実が上手いこと親子として擬人化しているんですね。いちょうの子どもたちの旅立ちの日。不安な気持ちは親も子も一緒。でもその不安に負けないくらい、旅立っていく時のまばゆい黄色の情景がとても美しく感じられました。 少し難しいと感じる宮沢賢治の作品ですが、この作品は理解しやすいお話だと思います。2023/09/13
このえ
21
★★★☆☆『やまなし』は小学校国語の教科書に載っていたので、久しぶりに読んでみた。「クラムボンはわらったよ」という言葉だけが頭に残っていたが、「クラムボンって何?」と思った記憶が。「クラムボン」は宮沢賢治が作った言葉で、何のことかわかっていないらしい。二匹のかにのこどもが、水の底でくらむぼんや魚ややまなしを見ながら話している。『いちょうの実』はいちょうの木から子どもたちの実が旅立つ前のお話。夢を語ったり、持ち物について話したりしているのを想像するとたしかにかわいい。2020/05/03