内容説明
母親の目の前でマンションの12階から飛び降り、心肺停止状態で搬送されてきた26歳の女性。足の踏み場もないようなゴミ屋敷から瀕死の状態で運び出された50代の男性。仏壇のロウソクの火が服に燃え移り、重症のやけどを負った82歳の女性……。重症重篤な救急患者を24時間態勢で収容する東京下町の救命センター。個々の病状や事情を踏まえて、どこまで医療介入すべきか、最善を尽くすため悩み続ける医師たち。急増する収容要請、緊迫の新型コロナ対応なども含めて、生命と向き合う救急医療を現役医師が綴った本音ノート。シリーズ累計120万部突破!
目次
第一話 それは死体!?
第二話 それは病死!?
第三話 それは自殺!?
第四話 それは運命!?
第五話 それは善行!?
第六話 それは寿命!?
第七話 それは差別!?
第八話 それは災害!?
第九話 それは急患!?
第十話 それは無駄!?
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タルシル📖ヨムノスキー
24
医療小説かと思って読み始めたら医療エッセイで驚きました。東京都内にある棒病院の救命センターの部長さんが、朝の申し送りでの報告を聴きながら、若手の医師たちと生と死、命の重さや価値について語っていきます。そこにはドラマのような劇的な場面はないけれど、救命センター特有の緊張感が、どちらかというと控えめな文章の端々から感じられます。途中に挟まれる人体の構造や病気、医学用語の説明がとてもわかりやすいという親切設計も嬉しい。ナツイチにラインナップされてなかったら、多分手に取ることはなかったこの本との出会いに感謝です。2024/07/06
taku
11
救急医療の現場を知ると、死を意識しないわけにはいかず、それが普段ぼんやりさせてしまっている生をくっきりさせる。救急救命センターの部長を務めた人が綴る、ドキュメンタリー調小説かな。少しドラマ仕立なのは、本音を伝えたかったからだと思う。気になった救急隊への高姿勢も、そのためか。救命センターと救急隊、それぞれの役割と立場はわかる。そうせざるを得ない葛藤を抱えながら、精一杯やっている。命に直接関わる仕事の人達は、これが常態。搬送される患者たちの事情から、社会の一断面が見える。色々と考えてしまうな。2025/01/09
papipapipapeace
11
救命センターに興味のある人は、是非!とても読みやすいです! かなり詳しく書いているので、医療従事者以外に読んで欲しい感じ2024/12/09
マダムぷるる
8
救急救命センターで勤務されているドクターの日常がつぶさに記録されているようで、ドキュメンタリーを見ている気分だった。毎日毎日違う状況の様々な病人や怪我人、そしてその家族や付添の人と向き合って治療をしているドクターを始め救急隊、病院関係者に感謝です。台風のために、ぽっかりできた時間。嵐が過ぎるのをひたすら待っているこの時間に、嵐のような初療室で対応している先生方を思いながら読んだ。2024/09/02
ist
8
東京都下の救命救急センターの当直医の朝の申し送りから始まる。 それぞれの短編は短いが、症例やその状況における各々の考えていることや判断に対する部長の解説がたいへんわかりやすく、臨場感に溢れている。 エッセイ・ノンフィクションなど医療モノは好みなので、他のシリーズも読んでみたい。2024/08/06