内容説明
終也と離れた真緒は、帝都に向かう汽車の中で、志貴に思い出話をする。廃れた神事『遠音の儀』を再開すべく、終也と調べていた時のこと。年長者が口を閉ざすなか、昔の先祖返りの日記が見つかる。しかし日記は不自然に破かれていた。十織家の過去と、終也の胸の内を知った真緒は……。ついに十織家の過去と、終也の本心が明かされる!? 人気の和風×花嫁ファンタジー第五弾! 「八番様」を有する一族を舞台にした短編、『神在心中忌譚――蝶々心中/青虫地獄』二編も収録! 「死ぬときは一緒」と誓い合った恋人たちの、美しくも悍ましい物語。
目次
序
幕間 壱 帝都行の列車
一. 失われた音色
幕間 弐 帝都行の列車
二. 憧憬を殺す
幕間 参 帝都行の列車
三. 帝都を懐かしむ
終
【八番目の地獄 神在心中忌譚】
蝶々心中
青虫地獄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
28
恭司を止めて綜次郎を取り戻すため、終也と離れた真緒。帝都に向かう汽車の中で、同行する志貴に過去の思い出話を語る過去エピソード回の第五弾。廃れた神事『遠音の儀』を再開すべく終也と調べていた真緒が見つけた、不自然に破かれている先祖返りの日記。母を亡くした志貴の父帝に対する複雑な想い。十織終也と六久野恭司の邂逅と積み重ねてゆく関係。そして志貴に不穏な預言を与えた八塚暝と紫織子、そして暝の双子の弟・蛉の関係とその結末。物語のターニングポイントとなる話を深く掘り下げていて、どれもそれぞれ印象的なエピソードでしたね。2023/12/19
栗山いなり
5
十織家と終也の過去が明かされる和風ファンタジー小説シリーズ第5巻。今回は短編集だった。その中でも真緒の強さと危うさ、そしてどこかダークな世界観は健在だった。しかしこの巻の真髄は特別短編の方。あれは一種のホラーだよホント2024/03/16
色素薄い系
3
この巻で終わりかと思ったら終わりじゃなかった。ここで八塚の短編を入れた事に恐らく意味があるんだろうから未来視に関して嘘が混ざっているという示唆ですかね。螟が見た未来を全部口にしていたかどうかも分からないので言わない事で蛉をあの未来に誘導した可能性もあるんだよね…紫織子は最期まで蛉という個を認識してなかったのが切なかったですね……2024/02/12
あずとも
2
帝都に向かう汽車の中で真緒と志貴が語る思い出話と未来視の能力を持つ八番様の話。未来視に意図的に虚実が混ぜられている事が分かる。ということは、末の皇子が・・という未来視が現実になるかは分からないと言うこと?次作が楽しみ。2023/12/24