内容説明
史上最強に奇妙な夫婦の、珠玉の外伝集!
「あら、葉歌。何を書いているの?」
「ぎゃ、覗かないでくださいまし。これは彩蘭様にあてた機密文書なんですからね。お妃様は存在自体が重大重要危険機密。私の命が続く限り、何十年でも観察して記録してあげますから、覚悟してくださいね」
「蟲愛づる姫君」こと李玲琳が傾倒する最愛の姉――斎国女帝・李彩蘭の要請を受け、嫁ぎ先での妹姫の行状を長年にわたってひそかに書簡にしたため、こまめに密告する玲琳付きの侍女・葉歌。歯に衣着せない彼女が四季おりおりに女帝へ書き送った機密文書の内容――「むしめづ」メンバーの上にふりかかる大小さまざまな「事件」の顛末とは? 玲琳の双子の娘と息子――十五歳に成長した火琳と炎玲――それぞれの恋のゆくえを描く「春ノ恋文」、双子がまだ赤ちゃんだった頃の、鍠牙パパの子育て奮闘記(!?)ともいえる「夏ノ見舞状」、双子六歳のときに発生したドタバタ誘拐劇「秋ノ怪文書」、そしてこれまで明かされてこなかった、玲琳が魁国に嫁ぐに至った(玲琳自身も知らなかった)前日譚を描く「冬ノ密書」、ほか複数のSS「寸書」をまじえた、「むしめづ」シリーズ待望の、究極にして珠玉の外伝集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
29
斎国女帝・李彩蘭の要請を受け、嫁ぎ先での妹姫の行状を長年にわたって密かに書簡にしたため、こまめに密告する玲琳付きの侍女・葉歌の報告書の形で送る史上最強に奇妙な夫婦の珠玉の外伝集。歯に衣着せない葉歌が四季おりおりに女帝へ書き送った機密文書の内容。なかなか振り向いてくれない火琳の想い人、炎玲と螢花の蟲比べ、自分に対してだけ懐いてくれる双子に親バカっぷりを炸裂させる鍠牙パパ、先代の側室たちと双子のドタバタ誘拐劇、女帝・彩蘭が妹の夫を決めた理由。周囲の人々の想いも描かれていてこの物語の世界を十分に堪能できました。2023/10/06
るぴん
27
大団円のその後の物語。双子の恋模様を微笑ましく見守り、鍠牙の親馬鹿ぶりに呆れ、葉歌の一家団欒にほっこりし、終始幸せ気分で読了。双子の策に嵌められて、ずっと秘めていた想いを叫んだ風刃が傑作だったなぁ。火琳は良かったけど、今後の鍠牙と風刃の会話が気になるところ。また続編や別の外伝を書いてほしい。2023/10/15
sin
6
kindle版。シリーズ買い。短編集。読みながらこれまでの内容を思い出す。面白く、懐かしく一気読了。2024/04/03
史
4
〉「本当に……お前は済度し難い愚か者。何をしてもどうあがいても幸せなどなれない、毒の化生。死ぬまでずっと、お前は苦しみ続けるの。私がお前を苦しませるの」「だから最後まで……苦しみぬいて哀れで無様な死を遂げた、その先の地獄の果てまで……一緒にいきましょう」//春は幼き恋が忙しく、夏は親の愛を覚え、秋は想いを振り返り、冬には昔を思い出す。ああ、この国はこの家族はこの愛は、今日も悍ましく楽しく、そして面白い。2023/12/06
らっこ
2
お慕いする会が暴走して火琳と風刃の距離が縮まる話など幸せに満ちた短編集。「火琳が一番大好きな男の人はお父様だもの」に苦笑いしました。葉歌の家族にまつわるエピソードもあったり、雷真と秋茗のバトルの実況は特に盛り上がりました。モブの女官たちも主に似てきたのかいい性格に成長したことに加え、ほんといい具合にぴったりはまったカップルばかりで落ち着きます。そういう意味では夕蓮が本当に異質ですね。内心はともかく行動だけ見れば読み手も納得できるキャラが多い中で、夕蓮だけは怖い結果を招いてるからなとしみじみ。2023/12/17